フランスの子育て中のママの働き方

フランスの女性のイメージといえば、バゲット片手に石畳を闊歩するパリジェンヌや、
北欧ブランドのベビーカーを押して公園をお散歩するおしゃれなママ。

映画に出てくるようなステキな街で、楽しそうに子育てをして、なんていうところではないでしょうか。

パリに住んで10年、出産&子育てを経験した筆者もはじめの数年はそんな印象を抱いていました。

なんだか女性がたくましい、頑張ってる、元気だなあと。

でも、ママ友づきあいも増え、彼女たちの内面を少しずつ知るようになると、
そんなバイタリティあふれる元気な女性ばかりではないんだなと。

子どもに愛情を注ぎつつも、仕事と家事・育児の両立に疲れていたり、
日々の暮らしに閉塞感を感じている人も多いことがわかりました。

また、離婚してひとりで子どもを育てている人、
はじめから入籍せずに子どもを持っている人、
恋人と暮らしている人など、家族構成も様々ですし、

違う文化圏から来てフランスで家庭を持った人、宗教の違いなど、
その背景もバラエティに富んでいるので「フランスのママは」とひとくくりにするのはとても難しいのですが、
私のこれまで出会ったフランス人ママを通して感じたこと、
こちらで話題になっている育児に関する情報について書いてみたいと思います。

フランスでは仕事を始める前に、まずは子どもの預け先

子育て世代の20代後半から40代の女性の就業率は8割以上と、
ほとんどのカップルが共働きのフランス。

しかも、アルバイトやパート的な雇用形態はなく、
期限付き、無期限と雇用のタイプの違いはありますが、
働く人は皆正社員なので、産休、育休後は、同じ職場に復帰する人が多くの割合を占めています。

子どもを持ってからも、住み込みのベビーシッターなどを雇ってバリバリと仕事に邁進していくママももちろんいますが、
子どもの手が離れるまで時短勤務を選択して、家庭と仕事の両立を図るママが多いのがフランスです。

●妊娠がわかったらまず保育園探し

パリなど子どもの多い都市では「妊娠がわかったらまず保育園待ちの登録を!」と言われるくらい、
待機児童問題を多少なりとも抱えています。

3ヶ月の産休明けで職場復帰するのか、それとも最大3年の育休を利用するのか、
保育園には入れるのか、入れなかった場合の保育ママ、ベビーシッターの手配は…

この辺りはやはり女性がメインになって考えるところでしょう。

男性の育児休暇取得率はそう高くありません。

●産休、育休明けは…

自分たちのペースに合わせて、復帰後の働き方を決めます。

フルタイムの週35時間勤務
(契約により、週48時間までは労働可ですが、多くの場合35時間)か、
8割、5割まで時間を減らした勤務にするか。

もちろん時短の場合、賃金は下がりますが、その分の何割かは産後3年まで公的支援があります。

昨今は、保育園、幼稚園の送迎など、
孫のために働かされすぎるおじいちゃん&おばあちゃんというのが話題になるフランスですが、
親の手を借りられるかどうか、夫がどの程度家のことをできるかというのもも大きなポイントになります。

子育てのために両親の近くに住む、という選択をするカップルも。

●子どもの学校に合わせて週4勤務の人も

日本では小学校入学時に「小1の壁」というものがありますね。

それまで保育園で長時間預かってもらえていたけれど、小学校に上がると、
一人でお留守番させられるのか、学童に空きはあるのかと悩みます。

フランスは3歳になる年の9月に幼稚園に入るので、保育園はほとんどの場合3歳まで。

幼稚園は義務教育ではないものの、大多数が3歳から通い、預かり保育も充実しているので、
学校にもよりますが、朝7時過ぎから夜6時、7時まで、安心して子どもを預けることができます。

また、数年前まで、幼稚園と小学校は水曜がお休みだったこともあり、学校の休みに合わせて、
水曜を含めた週休3日で働くママが多かったのです。

いまでも水曜は幼稚園、小学校は半日授業で、午後を習い事にあてたり、
週の真ん中でのんびりと過ごす家庭も多いため、週4日勤務を続ける女性は多いです。

●子どもの長期休暇はどうする

いちばん長い夏休みが8~9週間、その他、2週間の休暇(バカンス)が年に4回あるフランスの学校。

労働者は年あたりの有給休暇が5週間というのが基本ですが、
残業分や休日出勤などを振り替えて、それ以上休暇がとれる場合もあります。

とはいえ、子どものバカンスにまるまるつきあえるほどでもありません。

このたくさんのバカンスというのは多くの家庭にとって頭痛のタネなのですが、
親がいっしょに休暇をとれない場合は、
幼稚園や小学校併設のバカンス学童、自治体や企業などの主催で旅行に連れていってくれるグループ旅行、祖父母の家や友達の別荘へ行かせる、
など、子どもの個性に合わせて(親の都合で?)楽しめるアクティビティを選び、乗り切っています。

子育てしながらの働き方として大事なのは、無理をしないこと

そんな忙しい日々を送るママたちですが、
日本と比べるとやはり精神的に余裕があるなあと感じられるポイントがあります。

彼女たちは本当に無理をしないし、頑張りすぎません。

日本では、母親になるととにかく子ども優先。お母さんが限界まで頑張らないといけないようなところがありますね。

乳児の頃の「母乳で育てなくちゃダメ!」なんていう縛りから、幼稚園のお弁当づくり。

キャラ弁は子どもの喜ぶ顔も嬉しいですが、毎日のこととなると、正直、働くママにとってはプレッシャーです。

子どもといっしょにお風呂に入ってスキンシップを! 食事の栄養バランスを考えて…と、ほかにも呪縛の数々が。

食事だけをとってみても、フランスのごく普通の家庭の平日の晩ごはんは、
サラダとパンにチーズだったり、スパゲティーだけ、ピザだけ、などということも。

それでも夫も子どもも特に文句は言いません。朝食はトーストにジャム+飲み物、シリアルだけ、果物をつまむ程度、などなど、

これまたごく簡単に。昼食は子どもはたいてい給食がありますが、お弁当持参の許される学校の場合でも、
中身は見事に前夜の残り物。

我が子の通う小学校では、学校指定のポット型の2階建お弁当箱の下段にパスタなどを
、上段にお肉や魚を入れて行くと、食事の前に温めてお皿に出してくれるのですが、子どもに話を聞くと、
どかっとグラタンが入っているだけだったり、中には週末のごちそうの残りものがそのまま入っていたり。

私も以前学校でお弁当箱を落としてしまった子がハンバーグを拾い上げるところを見ましたが、
これが牛肉100%の、ハンバーガーにはさまっているようなハンバーグ。

フランス語ではSteak Haché(ステック アッシェ:ひき肉のステーキ)ですから、これでいいわけですけど、
日本人ママにとっては、買ってきたひき肉を焼いただけのものを、お料理とは認められないのではないでしょうか(笑)。

他にも最近日本に上陸した冷凍食品店Picardをはじめとして、ピザやグラタンなど、すぐに食べられる半調理食品が豊富ですし、
冷凍食品などに対する抵抗感も薄いです。

だいたい、食事にそこまでこだわる一般人がそんなに多くありません。

食事は簡単に済ませて、後片付けも短時間で終わるほうが幸せなのです。

キッチンをきれいに保つために、家で料理をあまりしない、と言う家庭もあるくらい。

また、富裕層に限らず、家事や子育ての外注もいといません。

自分がふだんできない部分の掃除や、衣類のアイロンかけを週2、3回家政婦さんにお願いしたり、
帰宅が間に合わなければ、小学校高学年まで義務付けられている子どものお迎えと放課後の留守番をシッターさんに頼んだり。

時給10€程度(約1200円)で気軽にお願いできるので、いざというときにはこういう助っ人さんたちが心強い味方です。

こんなふうに、フランスのママたちは、力を抜けるところは極力抜いて、
限界まで疲れをためないようにしているという感じでしょうか。

自分を大切にして、無理しないことで、家族に対しても笑顔でいられ、仕事への意欲も損なわずにいられるのでしょう。

フランス男性の家事参加率は?

日本でも最近は「イクメン」傾向で、育児にも積極的な男性が増えていますよね。

保育園の送り迎えなどにも、抱っこ紐のパパさんをよく見かけます。

フランスはといえば、その傾向は30年ほど前からだそう。

70年代80年代に、女性が仕事をしやすい環境を整えようという気運が高まり、
男性の育児参加を応援してきた歴史があるのです。

現在は、妻やパートナーの出産後最大2週間の産休をとるパパが多数。

父親として良いスタートを切るためには、この最初の2週間が大切という考えはフランス人パパの間にかなり浸透しているのですが、
男性も女性も、まずは自分を大切にするお国柄。

睡眠不足との闘いでもある新生児との生活で、この2週間のうちに音をあげる人も少なくありません。

また、フランス人男性がどの程度の家事能力があるかといえば、これも個人差はありますが、
身の回りのことは一通りできる人が、日本人よりは多少多いという程度ではないでしょうか?

とかく「アムール♡」的な、恋愛大国、男性が女性にやさしくて、というイメージ先行のフランスですが、
いざ一緒に暮らしてみれば、内情は日本と似たり寄ったり。

ことさらそういうアムール面を強調しないと、お互いに男性性、女性性が感じられないのではないかと思います。

というのも、日本人の感覚で見てしまうと、まずは女性がまったく女らしくないんです。

たとえば硬いジャムの瓶、か弱い(!)自分の力で開けるのが無理な場合、日本では身近な男性に頼ったりしますよね。

フランスに住んで初めて、友人の家でこんな場面に遭遇したとき、蓋が開かずに困った彼女がとった行動は、
その瓶の蓋の部分を、壁にガン!と一発ぶつけることでした。

「ほら、あいたよ!」とほこらしげににっこりする彼女。

「衝撃で蓋と瓶の間に空気が入れば開くんだよ」とご丁寧に解説してくれたのはその彼氏だったのですが、
なんていうか、男女の間が、一時が万事こんな感じなのです。

蚤の市で家具を物色していたカップルの女性のほうが、
子ども用のデスクを買って、ひょいと頭の上にかついで帰ったところを目撃したこともありました。

もう、非力で男性を頼るような傾向が一切なし!

できることはペンキ塗りでも大工仕事でも自分でしてしまいます。

そしてそれは子ども時代から… 小学校の校庭では、サッカーこそ男子メインで遊んでいますが、
なわとびでもバスケットでも、女子が男子に教えていたりします。

服装にしても、まず女の子があまりスカートをはきません。

女子中高生は90%以上がジーンズで通学していますし、その傾向は社会に出てからも同じです。

メイクだって、特に忙しい働くママなどはBBクリームとマスカラだけ、のように最低限。

フランス人女性の名誉のために言っておきますが、私はそんな自分で立っている彼女たちがとても好きですし、
基本的にきれいで魅力的な人が多いのです。

でも日本人男性などには、なんてガサツなんだ、サバサバしすぎてこれじゃ男じゃないか、
等々、感じることは多いと思います。

反対に男性は、意外と料理ができたり、掃除が丁寧だったり、小さな頃から子どもをあやすのがじょうずだったり。

中学生男子でも、クラスのパーティーにサクッとホールのケーキを焼いて持ってきたりするのです。

我が子が小さいときには、色々なお宅で子ども部屋を見る機会もありましたが、
男女関係なくどこの家にもあったのがおままごと用のキッチンセットであったことを思えば、その親世代もまた、
料理や家事が女性だけのものとは考えていないことはわかります。

ですが。結婚して、日々の暮らしとなると、
やはりフランスでも家事労働は女性の負担が多くなってしまうようなんですね。

そして夫婦げんかの原因の1位としてよく挙がるのも、やはりこの、家事分担の不公平感なんです。

結局、フランスでも仕事を制限して子育てとのバランスよく

というわけで、国は違えど、働きながらの子育ては女性に負荷がかかりがち。

時短勤務の働き方を選択することや家事の外注で、負担を少しでも軽くして、
自分の時間や家族と楽しむ時間を持てるよう皆頑張っています。

ただその場合、気になるのが家計のこと。

時短勤務はもちろん収入減につながってしまうわけですし、
シッターや家事代行も積み重なれば家計を圧迫します。

学校のない水曜の午後など、シッターにお願いしてフルタイム勤務するのと自分が休みをとって子どもと過ごすことを秤にかけた場合、
どちらがより良い選択なのか。

シッター代のこともありますが、
子どもと過ごす時間は大切でお金にかえられないと判断した場合は迷わず時短を選ぶでしょう。

フルタイムで時間もなく、疲れて、どうしても家の中が散らかりがちなら、
家事を少し手伝ってもらうための出費は必要経費と考えても許されるのでは?

などなど、ワークライフバランスに悩み、その時点でベストと思われる答えを探しつつ進んで行くしかありません。

働くママの割合の多さで、日本より少しだけ先を行っているフランス。

母親の頑張る姿勢、親子密着といった日本の良さは残しつつ、お手本にできるところは取り入れていけたらいいなと思います。

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