子育てがひと段落し社会復帰しようと考えたとき、扶養内で働くか扶養を外れるかが仕事探しの一つの基準になります。
ここでは、扶養内で働くことのメリットを解説するほか、自分に合った働き方とはなにかを考えるうえでの選択肢のひとつ、「パート」に焦点を当てて検証したいと思います。
Contents
「扶養」とは
一般に、「扶養」というのは、
- 税金上の扶養
- 社会保険上の扶養
これら二つの側面があり、扶養内で働くとそれぞれ収める税金額などが抑えられるメリットがあります。
では、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。
扶養内で働くメリットとは?
一般的な「サラリーマンの夫」と、「パートの妻」を例にして、解説します。
税金上の扶養(2018年改正後)
妻の給与年収が150万円以下の場合、
・配偶者控除の範囲内となり、妻自らが所得税を支払う必要がありません。
・夫は配偶者控除により、納める税金の額をおさえることができます。
社会保険上の扶養
妻の給与年収が130万円以下の場合、
・自ら社会保険料を納めることなく、配偶者の社会保険に「被扶養者」として加入できます。
・年金も同じく第3号被保険者となるため、妻自らが保険料を納める必要はありません。
社会保険に加入していることによって受けられる保障はとても大きいので、
自らこれを支払うことなく「非扶養者」として保障を得られることも大きなメリットです。
扶養から外れるデメリットとは?
税金上の扶養
妻の給与年収が150万円を超えた場合、
・夫の所得税が増え手取りが少なくなる。
・妻自身が所得税を支払わなければならない。
夫と妻の税金がダブルでかかってくることになり、家計を圧迫します。
ただし、給与年収が150万円を超えた場合も、201万円までは夫の年収が一定の範囲内であれば配偶者特別控除の対象となります。
社会保険上の扶養
妻の給与年収が130万円を超えた場合、妻自身が社会保険料を支払う必要があります。
税金上の150万円、201万円までは働いてもメリットがあると思いがちですが、社会保険の130万円の壁があることを忘れないようにしましょう。
これから働こうと考えている方は、社会保険料、所得税を差し引いても収入が増えることを意識した働き方をすることが大切です。
そして、これらをふまえたうえで、非正社員パートとして扶養内で働くことを選ぶ主婦が多くいます。
次から、パートに焦点を当てて説明します。
「非正社員」という選択肢
一般的には、永年雇用を前提とした「正社員」、
企業に属さない「非正社員」、
自ら起業・マネジメントを行う「経営者」などの働き方があります。
ここでは、「経営者」を除く、「雇用される立場」について、考えていきます。
「正社員」は、福利厚生や昇給など、
会社の制度に基づいた様々な待遇を受けられることが多いのが特徴です。
一方、「非正社員」と呼ばれるものには、
「パート」「アルバイト」「派遣社員」「嘱託社員」「契約社員」
などがあります。
次に説明する「パートタイム労働法」では、正社員だけでなく、
正社員以外の雇用形態で働く者も含めて「労働者」であると定義しています。
「非正社員」として生きることに価値を見出し、
法律や制度をうまく利用して納得のいく働き方を選択することが、
ライフスタイルを豊かにする秘訣だといえるでしょう。
パートタイム労働法とは
「パートタイム労働法」は、近年増加する短時間労働者の労働条件、
労働環境の改善などを目的として制定されました。
事業所が、労働者に対してとるべき措置が規定されています。
具体的には、正社員との差別的取り扱いを禁止したり、事業所に対して、
パートタイム労働者からの相談に対応するための必要な体制を整備したりするなどの
措置が求められています。
昨年、改正法が施行されましたが、
短時間労働者の数は今後もますます増え続けるとみられ、
今後も頻繁に改正が行われると予測されます。
「パート」が支える社会
実際に今、多くの企業では、少子高齢化に伴う人手不足や、
必要な場面で必要なスキルを備えた人材が確保できない、人質不足に陥っています。
そこで、ある程度の社会経験をもち、地域との繋がりが深く、
他者とのコミュニケーション能力に長けた主婦層、中高齢者層のニーズが高まりつつあります。
今まで、スーパーのレジ係や工場勤務の主婦というイメージが強かった「パート」ですが、
近年ではその職種にとどまらず幅広い分野で活躍を遂げています。
パート職員に対して昇給、昇格制度や資格支援制度を導入するなど、
やる気を促し長期に働きやすい環境整備を行うことで、
人材の流出を防ぎ優秀な働き手を確保する事業所も増えています。
その気になれば、自分のスキルとモチベーションに合った仕事を見つけることは、
難しいことではないのです。
THE.エキス「パート」
しかしながら、「パート」で働くということに対して、
まだまだ「生活費が足りないから仕方なく働いている」、
「正社員に比べて責任がなく気楽な気持ちで働いている」という、
ネガティブなイメージが根強く残るのもまた事実でしょう。
特に、正社員からやむを得ずパートに変わった人の中には、
「私はパートです」と胸を張って言えない人も少なくないと思います。
でももう、そんな時代ではないのです。
薬剤師、建築士、看護師など、「これまでの経験を生かした専門性のあるパート業務」も、
数多く存在します。
パートから正社員になった事例も、パートから社長になった事例も、珍しくはありません。
小売り、販売、飲食、事務、製造、医療、様々な分野で「パート」の力が求められているのです。
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