漆のうつわを毎日<普段使い>の食卓に。

■この記事を書いた人
ricorico
ライター・編集者。
暮らしまわりを中心に雑誌・カタログ・webなどで執筆中。

普段使いに漆器を楽しむ人が増えています。

使えば使うほど、その魅力の虜になる漆のうつわ。

毎日の食卓に漆の器がある暮らしを楽しんでみませんか?

でも漆器は扱いや手入れが大変では?

おすすめの漆器から、日々の扱い方、漆器の使い方ヒントまで、

うつわのプロにお話をお聞きしました。

今夜の夕げから、さっそく使ってみたくなりますよ。

<冒頭写真提供/bonton. 菅原利彦作 漆リム皿 25cm 17280円>

■この記事を書いた人
ricorico
ライター・編集者。
暮らしまわりを中心に雑誌・カタログ・webなどで執筆中。

●お話をうかがった方 

bonton. 横井れい子さん

兵庫県、芦屋市にある作家もののうつわを中心にした、

ていねいな手仕事の品を扱うお店。

漆器、陶磁器、ガラスなど、居心地のいい空間に並ぶものたちは、

どれも使い勝手がよく、繰り返し何度使っても飽きがこない品揃え。

各地の窯元や工房に出向いて一点づつ選んだものたちは、

使うほどに作り手のぬくもりが感じられ、

日々の暮らしを豊かに彩ってくれます。

月に一度のペースで作家の展示会やイベントなども開催。

横井れい子さんによる今の暮らしにぴったりな

うつわレッスンも人気です。

オンラインショップもあります。

公式ホームページ

http://bon-ton.co.jp

使用している画像はすべてbonton.さんの提供によるものです。

気になる作品についてはbonton.へお問い合わせください。

 漆器の魅力とは?

<菅原利彦作 丸トレー29cm 19440円 、大村剛作 マグカップ各4104円>

「近ごろはいいものを毎日の暮らしに取り入れ、

ていねいな暮らしを好まれる方が増えていて、漆器はとても人気です。

漆の器はやさしい手ざわりや、やわらかな口あたりで、

食卓にあたたかみがあふれ、ほっとするおだやかな気持ちを

もたらしてくれます。

極端に熱いもの以外は、ごはん、汁もの、酢のもの、揚げものなど、

なんにでも使えます。

温かいものは冷めにくく、でも手に持っても熱くならず、

とても軽くて扱いやすい。うっかり落としてしまっても陶器や磁器、

ガラスの器のように割れたりしにくいので、

高齢の方への贈り物としても喜ばれています。

何年か使っていて、万が一傷がついたり、色があせたとしてもお直しができ、

ずっと長く使い続けることができるのも魅力です」と、横井さん。

まずは漆器のお椀から?

<土田和茂作 糸椀 小 9720円 >

サイズ違い10800円も作成されてます。

ハレの日などの特別なものではなく、今のライフスタイルにあわせやすく、

普段使いしやすい漆器が増えています。

一般的には、まずはお椀を買い、次に取り皿をという買い方が多いそうですが、

漆器を上手に選ぶときのポイントは

「自分の毎日の食卓に出番が多い器を考えて、

手に入れるのがおすすめ」と、横井さん。

「各ご家庭で、使う頻度が多いアイテムやサイズ感はそれぞれ違いますよね。

漆器は高いものも多いので、漆といえばまずお椀という風に考えなくても

漆器づかいを始める方は、ご自分の日々の暮らしの中で使い勝手がよく、

取り入れやすいものから楽しまれるのがいいと思います」

また、汁ものやごはん用のお椀は手に持って使うもの。

長く愛用するためにもデザインや色だけで選ぶのではなく、

実際に持ってみて、手にしっくりとなじむ形を選ぶのもおすすめポイントだそうです。

 普段使いにおすすめの漆器はこれ!

実際に手に取り、毎日の暮らしで使いこなしながら

ほんとにおすすめのものだけを扱うbonton.の横井さん。

多目的に使えて活躍シーンの多い漆器をお聞きしました。

お店のお客さんにも人気の漆器たちです。

おすすめ漆器! いろいろ使えるフリーボウル。

<菅原利彦作 36bowl 各5940円>

「菅原利彦さんの作られるフリーボウルはとても便利です。

写真のボウルは小さいサイズですが、

数種類サイズ違いを作られています。

サイズによって使い分ければ、汁椀として使ったり、

冬ならお鍋の時の器に、和え物やサラダなどの料理や、

こぶりのどんぶり用の器などにも活躍します。

朝の食卓ではシリアルを入れたり、カフェオレなどの飲み物にも。

和だけでなく、洋の料理にも合わせやすくて、ほんとに出番が多い漆器です。

各ご家庭によって、使いやすいサイズは違われると思いますので、

ご自分で活躍度の多いサイズを選んで入手されると、毎日づかいに大活躍するはずです」

こんな風にサイズによってはヨーグルトを入れたり、

アイスクリームなどの冷たいものにも活躍。

おすすめ漆器! 色も楽しみたい色漆のお皿。

<菅原利彦作 石皿 13cm 各5400円>

<菅原利彦作 リム皿 15cm 各6480円>

<菅原利彦作 リム皿 24cm 各12960円>

藍色やブルー、桜色など、色漆も、漆器の楽しみのひとつ。

ぜひ食卓へ取り入れましょう。

「菅原さんの色漆を松本のクラフトフェアで初めて見たとき、

その色づかいにワクワクしました。bonton.では12年前のオープン

の時からのお付き合いです。

和、洋、どちらのお料理にも合わせやすく、

食卓がカジュアルで、軽やかな雰囲気になって素敵です。

とくに写真の石皿は、bonton.では、最初の漆器としておすすめを

することが多いお皿です。

取り皿にもお使いいただけるし、お菓子のお皿やソーサとしても

おすすめしています。

かつては、うつわは何客もおなじものを揃えるのがスタンダードでしたが、

漆器に限らず、今は家族分、または一点づつ好きなものを手に入れる

スタイルが多くなっています。

漆器の取り皿も、いろんな色、サイズを少しずつ揃えていただくと

毎回の食事が楽しく、食卓のコーディネートの幅も広がります」

おすすめ漆器! 使い勝手バツグンの漆の板皿&長方トレー。

<土田和茂作 板皿3×4.5寸 3240円>

凹凸を布のコーデュロイで線をつけたかっこいい板皿。菓子皿に使ってもきれい。

<菅原利彦作 漆器長方トレー各12×24cm  9720円>

藤色と象牙色。

お客さまへのちょっとしたおもてなしの時にこんな風に使うと洒落てますよね。

「お店でもとても人気で、ぜひおすすめしたいのが漆の板皿と、長方トレーです。

毎日の暮らしのなかで使うシーンが多くておすすめです」

土田和茂さんの黒い板皿は、輪島塗のかっこいい一品。

菅原利彦さんの色漆のトレーは藤色や象牙色が美しい。

「お菓子やおかずを直接のせてお皿として使ったり、

コースターにしたり、お茶とセットにしてトレー感覚で使ったりと、

使い勝手が多くて重宝します。

焼き魚をのせたり、天ぷらをのせても大丈夫。

お料理を盛っても、お菓子とお茶をセットした時もバランスよくまとまり、

なんでもないお漬物をのせてもおしゃれな一品に見えますよ」

おやつタイムに、お茶とお菓子をセットにしてトレーとして使ったり。

洋のうつわとも合わせやすい。

お漬けものをのせたり。

お漬物もお店の料理みたいに見えて素敵。

<こちらはシックなオレンジ系の正方形サイズ12cm角 5400円>。

クッキーなど、洋菓子系の菓子皿に使ってもぴったり。

 普段使いにぴったりの、輪島塗のお椀。

<土田和茂作 つぼみ椀 各11880円>

<土田和茂作 糸椀 小各9720円>

サイズは大もあり、一客10800円。

かつてはハレの日用に買い求める人が多かった美しい輪島塗の漆器は、

近頃は普段使いしやすいものも増えてきているようです。

「ハレの日などを機に買われて、でも特別な時だけ使うのではなく、

そのあともいつもの食卓で使いやすいものを選ばれる方が多いですね。

土田和茂さんは塗師の赤木明登さんに師事した方。

飯椀も汁椀も、板皿も、伝統的な輪島塗の技法や、

オーソドックスなデザインを大切にしながらも、

今の暮らしに使いやすく、合わせやすい軽やかさとエレガントさがあります」

初めての輪島塗のお椀におすすめなのは糸椀のような少し浅めのお椀だそう。

「おかずの小鉢としてはもちろん、ごはん茶碗にも、汁物をいただくのにも

いいサイズ感で、使うシーンが多くて便利です」

軽くて使いやすい漆のお箸。

<芦田貞晴作 拭漆八角箸 各2160円>

作家もののおしゃれな箸置きといっしょにセッティングすると、さらに素敵。

箸置きは、手前から、松平彩子さん、西川聡さん、山口利枝さん、大野素子さん作。

「漆のお箸はほんとに軽くて、とても使いやすくておすすめです。

bonton.では芦田貞晴さんの拭漆の八角箸をずっと扱わせていただいてます。

先端は何度も漆が塗られているていねいなつくりで、

フォルムもきれい。焼き魚などもとても食べやすいですよ。

どんなうつわや箸置きなどとも相性がいいのも魅力。

お箸はお手頃な値段で、毎日必ず使うものなので、

まずはお箸から使っていただくのもいいですよね。

禿げることがもしあれば、もちろん、塗り直しもしてもらえるので、一生もんです」

漆器のおすすめコーディネート。

<菅原利彦作 漆器リム皿 19cm 9720円 25cm 17280円>

色漆をガラスの器と合わせるとこんなにモダンでおしゃれに!

漆器というと和のイメージを抱きがちですよね。

でも実は「洋の器などとも合わせやすくておすすめ」と、横井さん。

「漆器は陶器や磁器、ガラスなどの異素材とも相性よくまとまります。

土っぽいものと合わせると落ち着いた和の雰囲気にあふれ、

軽やかなニュアンスの磁器やガラスなどと合わせると、

洋のモダンな雰囲気になって素敵です。

色漆などはとくに、同系色トーンのカラーガラスを合わせてもきれいです。

また、折敷はひとつあると、いろいろうつわ合わせを楽しめるのでおすすめです」

< 土田和茂作 糸腕 小 9720円、お箸2160円 >

輪島塗の糸椀は、こんな風にガラスや磁器と合わせると

普段の食卓にぴったりなカジュアルな雰囲気に。

↓おなじ漆の角折敷でも合わせるものでイメージが変わります!

折敷ひとつで器あわせの楽しみが広がります。

<土田和茂作 角折敷 19440円>

黒いお皿と合わせるとシックなコーディネートになります。

上とおなじ角折敷でも、やわらかな色のうつわと合わせると軽やかさが出ます。

色漆に同系色のガラスのうつわを合わせたモダンでおしゃれなコーディネート。

ガラスは、春、夏はとくにさわやかな雰囲気が出ておすすめ。

<菅原利彦作 漆器長方トレー 12×24cm 9720円>

漆は陶器にも、磁器にも合わせやすい。

ランチョンマットや箸置きなど、ちょっとしたアクセントづかいもポイント。

軽やかにも、シックにもコーディネートがいろいろ楽しめます。

ランチョンマットはbonton.では販売していません。

漆器の扱い方は?

<白蕪鉢 径18cm 高さ8cm 19440円>

「漆器の扱いはとてもラク!です。

漆器も、洗い方は陶磁器のうつわと変わりません。

布か、スポンジのやわらかい面で洗えばいいだけです。

中性洗剤を使ってももちろん大丈夫です。

汚れが落ちにくい時は、しばらく水につけておけばきれいに取れます。

洗った後もふきんで水気をふきとるだけ。

漆器は乾きがとても早いのも魅力です。

気をつけることは、食洗機や電子レンジにかけないことと、

長時間のつけ置きを避けることです。

乾燥して劣化しないように直射日光を避けた場所へしまうのも

長く大切に使うためのポイントです。

使いはじめしばらくは、漆のにおいがすることもありますが、

使い続けるうちに消え、気にならなくなりますよ。

ぜひ、漆の器のある食卓を楽しんでくださいね」

最後に。

漆器は扱いが大変そうと、抱いていたイメージが違ったのではないですか?

そう、漆器は軽く、保温性も高く、お手入れもらくちん。

油物や酢の物などいろんな料理に使えます。

なにより、使うことでほっとするようなやさしい気持ちにつつまれて、

そしてお直しが出来るので一生大切に使えます。

今は、使い捨て感覚から、再びいいものを長く大切に使う時代へ。

漆器を毎日の食卓に取り入れて、ぬくもりを感じる暮らしをはじめましょう。

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