医療費控除は明細書の作成が必須! 「平成29年分医療費控除」と 「セルフメディケーション税制」のおさらい

■この記事を書いた人
kope
専門雑誌編集者を経て、2人めの出産を機にフリーエディターに。フラと校正が趣味。字を書くこと、人と話すこと、コーヒーが好き。

慌ただしくも楽しかった年末年始が終わり、そろそろ確定申告の準備を始めよう!

そう思って12月に一度、医療費控除のための計算を、と、領収書を集めて仕分けし始めたら、例年よりちょっと面倒くさくなってる気がします(個人的な感想です)。

どうやら書式の決まった「明細書」の提出が必要なようです。

そして平成29年から初めての「セルフメディケーション税制」。

どちらで申告したらお得に節税できるでしょうか。

平成29年分医療費控除の気を付けたい変更点と、セルフメディケーション税制についておさらいしてみたいと思います。

平成29年分から、医療費控除は明細書の提出が必要に

これまで、花粉症男子や食物アレルギー女子をかかえる我が家では、毎年のように医療費が10万円を超え、申告しなかった年あったかな…?というくらい、毎年、医療費控除を申告しています。

いいのか、悪いのか、準備も手慣れたもので、我が家の手順は以下の通りです。

① 平成29年1月1日~12月31日までに払った、病院の領収書や薬局の領収書をまとめた引き出しから全部出す
② 家族別に分け、さらに病院別・薬局別に分ける
③ エクセルで表を作り、全員分の診察代、処方箋薬局の支払い金額を打ち込む
④ エクセルの表計算機能で合計金額を計算
⑤ 10万円を超えていたら申告準備へ移行
⑥ 領収書をまとめて郵送する封筒を用意

という段取りです。

家族別に分けてそれぞれ計算しているのは、計算間違いを発見しやすくするためです。

全員分一度に計算してしまうと、どこで間違ったからわからなくなります。

エクセルに入力する際に打ち間違う可能性もありますが、再確認しやすく、延々と電卓をたたいているほうが間違いやすいことに気が付いてからはこのスタイルです。

平成29年分からの変更点で、⑥で行っていた領収書の郵送が不要になり、代わりにどこにいくら支払ったかの一覧を添付することになったようです。

提出が必要な「明細書」は「診療明細書」ではない

(国税庁ホームページより)

平成29年分の医療費控除から、これまで領収書そのものの提出が義務だったものから、明細書の提出に変更になりました。

上の写真がその明細書です。

明細書と聞いて、領収書と一緒にもらうもう一枚の紙「診療明細書」を思い浮かべる方はいないでしょうか。私はそうでした。

「しまった! 領収書を取っておいて、明細は捨ててた!」と焦りました。

しかし提出が必要になったのは、「診療明細書」ではなく、「支払った医療費をわかりやすくまとめた一覧表」のようなものです。

この「医療費控除の明細書」に記入が必要なのは、主に

(1)医療を受けた人の氏名
(2)病院・薬局などの支払先の名称
(3)医療費の区分(診療・治療/医薬品購入/介護保険サービス/その他の医療費)
(4)支払った医療費の額
(5)(4)のうち生命保険や社会保険などで補填される金額

の5項目です。

(3)のその他の医療費にチェックが入るものについては、その病院に通院するために使用したバス代や電車賃、必要な医療用器具の購入の金額がそれにあたります。

(5)の金額は、学校で加入している保険や入院保険など、自分で申請して降りてきた金額のことですね。

国税庁の説明では、提出する明細書には「医療を受けた人、病院や薬局ごとにまとめて記入する」とあります。

やっぱり最初に支払った人別、医療機関別、薬局別などに分けておいた方がよさそうです。

ちなみに、セルフメディケーション税制対象外の医薬品でも、購入した医薬品は医療費控除のための合計金額には加算できます。

ただし、こちらはインフルエンザなどの予防接種費用は加算できません。

便利な「医療費集計フォーム」をダウンロードしてみよう

(国税庁ホームページより)

ちなみに、国税庁ホームページの【平成29年分 確定申告特集(準備編)】から「医療費集計フォーム」(エクセルデータ)のダウンロードが可能です(無料です)。

ダウンロードしたエクセルデータは、入力すると自動で合計が計算されるので便利です。

ダウンロードしたエクセル表は以下のようなもの。

試しに入力してみたら、即座に左上の「支払った医療費の金額」欄に足された金額が出てきます。

電卓と違い、うっかり途中で間違えてイライラすることがないのでありがたいです。

でも、この集計フォームを使わなくてもいいのです。

ただ、個人でもエクセル表を作り、病院名や薬局名ごとに入れていけば、あとからまとめるのが楽になります。

また、この集計フォームに入力・保存したデータは、確定申告書等作成コーナーの医療費控除入力画面で読み込んで、反映されるので便利!

確定申告書一式の封筒をもらってきて手書きをしている、という方も、入力すれば合計計算が自動的に行われるので、このフォームだけでも試しにダウンロードしてみてもよいかもしれません。

医療費控除とセルフメディケーション税制の選び方

「セルフメディケーション税制」という言葉、この一年であまり浸透してない気がするのは私だけでしょうか。

以前、主婦へえでも紹介しましたが、もう一度説明しましょう。

セルフメディケーション税制とは「薬局やドラッグストアで支払った市販薬(OTC医薬品。ここではわかりやすく市販薬とします)の代金が、1年間で12,000円を超えた場合、超えた分(上限88,000円まで)が所得金額などから控除が受けられる仕組み」。

厚生労働省の定義を要約すると「医療用医薬品からの代替を進める観点から、適切に自分で健康管理をし、健康増進や病気の予防への取り組みとして、個人がOTC医薬品(市販されている薬)を購入した場合、それが12,000円を超える分について総所得金額から控除する新税制」です。

言葉自体は知っていても、今年1年レシートを残してみて、まだ該当する医薬品が少なく感じました。単に我が家が主に買っている医薬品が対象ではないだけでしょうか。

酔い止めや頭痛薬など購入し、ドラッグストアのレシートも大量にありますが、29年分の「セルフメディケーション税制対象商品」合計金額は(税込み金額で計算します)、3,717円。

12,000円にはとても届いていないため、どちらを利用するか検討する必要もありませんでした。

医療費が10万円を超えていて、さらにセルフメディケーション税制対象商品の合計金額が12,000円を超えている場合のみ、どちらを申請するか検討します。

ざっくり言うと…

平成29年に支払った医療費合計-10万円=A
平成29年に購入したセルフメディケーション税制対象商品合計-12,000円=B

とすると、

Aの金額が大きい→医療費控除で確定申告
Bの金額が大きい→セルフメディケーション税制で確定申告

となります。

医療費合計が10万円を超えていない場合で、セルフメディケーション税制対象商品の購入金額合計が12,000円を超えていれば、セルフメディケーション税制の確定申告をしましょう。

セルフメディケーション税制の申告に必要なもの①明細書


(国税庁ホームページより)

セルフメディケーション税制の申告にも明細書が必要です。

主に記入する項目は

(1) 薬局などの支払先の名称
(2) 医薬品の名称
(3) 支払った金額
(4) (3)のうち生命保険や社会保険で補填される金額

出先で具合が悪くなって薬を購入する場合もありますが、常備薬や子どもに使う市販薬などは、自宅近くの同じドラッグストアで買うことが多いと思います。

そのような場合、薬局やドラッグストアごとに購入した医薬品の名称はどんどん続けて書くことができます。

書ききれない場合は2行、3行と使えるそうです。

セルフメディケーション税制の申告に必要なもの②適用を受けられることを証明する書類

セルフメディケーション税制とは、文字通り、セルフ(自分自身)で健康に留意している人に適用されるものです。

具体的には予防接種を受けている、市町村などでがん検診を受けているといったことを指します。ですのでそれらを行ったことを証明できるものが必要となります。

例えば

・インフルエンザの予防接種または定期予防接種(高齢者の肺炎球菌感染症など)の領収書、または予防接種済証
・市区町村のがん検診の領収書、または結果通知表
・職場で受けた定期健康診断の結果通知表
・特定健康診査の領収書、または結果通知調
・人間ドックやがん検診をはじめとする各種健診(検診)の領収書、または結果通知表

などです。

我が家では結果通知表などは、数年に渡って比べたいので手元に残すため、もし提出するときはコピーを忘れずに残そうと思います。

結果通知表を提出する場合、結果部分を黒塗りしたり、切り取ったりしたコピーでもよいそうです!

明細書を出して終わりじゃない? 5年間やるべきこと

医療費控除は領収書をまとめて送る必要がなくなり、そのための郵送費もかからなくなり、手間と小銭が必要なくなったと言え、平成29年分から提出書類が簡略化されたというのは確かなようです。

それでもまだ、これから親の通院が増えたり、介護したり、実家の分も計算することになるかもしれないと思うと、もっともっと簡略化されたらうれしいな、というのが本音です

介護に関連しては、寝たきりの人のおむつ代も医療費控除の合計額に加算できます。

その場合、明細書に加えて、医師発行の「おむつ使用証明書」の添付が必要になります。

今回の明細書提出ですが、経過措置で、平成31年分までは、これまで通りの領収書の提出でもよいそうです。

国税庁は今後、明細書を提出した場合も、確定申告期限などから5年間は領収書を保管するように、と言っています。

税務署から記入内容を疑われるのか、チェックされることはほとんどないとは思いますが、念のため保管しておきましょう。

健康と節税のために

最近は、がんなど闘病の実体験を公表したり、早期発見の大切さを教えてくれたりする芸能人の方も多く、募金やキャンペーンなども盛んになり、健診を受ける機運も高まっていると思います。

セルフメディケーションは単に医療費控除の特例の名称ではなく、自分たちで気を付けるべきことのネーミングですよね。

とはいえ、やっぱり病院に行く暇がない、自分のことは後まわし、という忙しい主婦は病院にはかからず市販薬で治すこともあるので、それが節税につながるのはありがたいこと。

しかし、肝心の申告作業はけっこう面倒で、夫は私に任せっぱなし、というご家庭も多いのではないでしょうか。

それでも節税のために、お互い頑張りましょう!

自分と家族の健康管理に気を付けつつ、税金が少しでも還付されるよう、来年の今ごろ焦らずに済むよう、今年もきちんと病院の領収書とドラッグストアのレシートを管理しようと思います!

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