昨年の今ごろ、電力自由化が話題になり、
駅には特設コーナーができて、チラシを配る人が多く立ち、
「鉄道会社が電気売るの?」と少なからず驚いたものです。
すると次々に電力自由化に参入する企業が宣伝を始めました。
鉄道会社だけでなく、ケーブルテレビ会社、生協、燃料会社、そしてSoftbankやauといった通信会社まで、
今や100社以上が参入しているそうです。
「ケーブルテレビ屋さんがどうやって電気売るの?」
と最初はチンプンカンプンでしたが、そうこう言っているうちに、今年4月からはガスも小売り自由化になります!
電力自由化もまだよくわかってないけど、電気はともかく、
ガスをガス会社以外が売るってなんか心配…、と思っているのは私だけでしょうか?
そこでガス自由化について、年に一度、ガス機器メンテナンスに来てくれるガス屋さんに聞いてみました。
Contents
はじめに、電力自由化のおさらい
(資源エネルギー庁ホームページより)
電力自由化とよく言われますが、正しくは「電力の小売全面自由化」となります。
電気もガスも目に見えませんが、私たちがお金を払って買って使っている商品と思ってください。
電力は、住んでいる地域によって売ってくれる会社が決まっていて、
たとえば関東地方なら東京電力、関西地方なら関西電力、九州は九州電力から購入することになっています。
お米も牛乳も洋服も、ほとんどの商品を私たちはそれぞれ好きなお店で購入していますよね。
味がよかったり、安かったり、お店自体が好きでよく行ったり、選ぶ理由も買い方もさまざまです。
しかし、電気はそうではありませんでした。
引っ越しをする前と後にはその地域の電力会社に連絡し、
「電気を止める」「電気を通す」といった連絡をしているように、決まったところから送られてくる電力を使用するしかありません。
電気(電力)はどこから来ているの?
そもそも、電気はどこでつくられ、家庭まで届いているかご存知でしょうか?
電気は水力発電所、原子力発電所、火力発電所などでつくられ、大規模変電所に送られます。
そこから中規模変電所、小規模変電所へ送られ、大きな工場やビルなどへも送られます。
家庭へは、小規模変電所から電柱を通り、柱上変圧器(柱上トランス)を通して、
6600Vほどだったものから家庭用の100~200Vになって送電されます。
家庭ではご存知の通り、電力メーターや分電盤などを通じて家電に届いていますよね。
このように各地でつくられた電気は、送電線を通って家庭へと送られているのですが、
これまではつくっている企業が販売していました。
たとえば東京電力がつくったので東京電力が販売します、というわけです。
電気には、農家がお米を作り、農協があって、スーパーが売る、といった間に入る人もいませんでした。
それが昨年の電力完全小売自由化(大規模工場など向けにはすでに始まっていました)によって、
新しく参入した企業が販売を行えることになりましたが、送られてくる送電線はこれまでと同じです。
そのため、住戸内の電気工事なども必要ありません。
電気(電力)を別のところから買うメリットは?
電力会社が電気を売っていた従来のシステムでは、少ない料金プランから選ぶことしかできませんでした。
しかし、小売業者が多く参入することで、さまざまな料金プランを選ぶことができるようになりました。
鉄道会社カードとのポイント合算、ケーブルテレビチャンネルと電気のセット契約割引など
、ライフスタイルごとにおトクなプランを選ぶことができるのです。
また、生協などでは再生可能エネルギーによって発電した電力を販売し、発電産地も応援するなど、特徴を出しています。
じゃあガス電力の自由化は?
(東京ガスホームページより)
ガスも自由化の仕組みは電力とほとんど同じで、新しくガス販売をする企業が参入することで、
ガスをどこから買うかを選べる選択肢が増えます。
小売自由化でもガス自体の品質は変わらないうえ、
ガス配管は従来のものを利用するので、ガス漏れなどの心配はありません。
トラブルがあった場合は現状利用している、地域のガス会社や新規に契約した企業が対応することになります。
ただし、すでに都市ガスを利用している、ガスを通す設備がある地域に限った利用になります。
現状LPガス(プロパンガス)を使っている地域など、都市ガスが敷設されていない場合、
今回の自由化で小売業者を変更することはできません。
しかし、もともとLPガス業者はたくさんあり、価格も自由設定ですので、実は現状より安いところを探せばあるかもしれません。
実際、ガスに替えた方がおトクなの?
新規参入した企業が販売するガスも安全に届くということは分かったのですが、替えるとおトクなのでしょうか?
ずばり、私の聞いたガス屋さんのお話だと、
「毎月のガス利用料金が平均して6,500円以上の家庭で、とんとんくらい」なのだそうです。
床暖房を頻繁に利用したり、家族が多かったり、帰宅時間の違いなどで
何度もお風呂を沸かしなおすなど、ガス利用量の多いご家庭もあると思います。
そのような「月平均1万円ほどの家庭だと、年間1万円くらいのおトクかな」とのことでした。
もちろん変更するプランや使用状況によって異なりますし、基本料金の差だけでなく、
さまざまなサービスとのセットもあるのでよく検討しましょう。
実家のお風呂はガスで沸かしていますが、両親が高齢になり、調理はIHに変更したため、
ガス利用量は減りました(電気代は上がりましたが)。
このようにガス利用量が少ない家庭だと、逆に高くなることもあるそうです。
また、ガス機器のメンテナンス契約をしている場合、
そのシステムや修理割引などが引き継がれるかは事前に確認が必要です。
まとめ
電力自由化の時よりも、なんとなく盛り上がっているように感じないガス自由化。
それは電力に比べ、参入する企業が少ないことに原因があるようです。
少ないのは残念ですが、それでも競争が生まれて価格が安く、
適正になっていくのは消費者にとってうれしいことに違いありません。
電気代はこまめに節電に取り組むこともできますが、ガスは節ガスという言葉もあまり聞きませんし、
「お風呂を沸かしたらすぐ入ることや、保温調理でガスをあまり使わなくすることくらいかな?」
とあまり節約術も思いつきません。
だとしたら、そもそもの料金プランを見直すことが、有効な節約につながりそうな気がします。
電力の参入企業のように多すぎると迷ってしまいますが、
ガス自由化は参入企業が少ないため、今ならチェックできるかもしれません。
また、「ガス自由化でガス機器の交換が必要になります」といった悪質な業者が出てくると予想されているようです。
メーターなどの交換は不要ですので、そんな勧誘が来たら要注意です!
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