暑い夏の夕暮れ、家族や友だちとおいしいワインのひとときはいかがですか。
ワインのなかでも、気軽に楽しむのにおすすめなのが
自然派ワイン<ヴァンナチュール>と呼ばれているビオワイン。
自然の恵みを生かし、生産者の手でていねいに作られるビオワインは、
ぶどう本来のピュアな旨みや深み、その土地ならではの味わいが
ダイレクトに楽しめます。
その魅力と、夏にぴったりなおすすめのビオワインを、
専門店、wine shop vintageの市川さんにお聞きしました。
■お話をお聞きした方
市川 匡さん
wine shop vintage <ワインショップヴィンテージ> ソムリエ&オーナー
神戸・三宮にある、ワインと日本酒の専門店。
「ホテルオークラ」の元チーフソムリエ、
日本酒の名誉唎酒師でもある、お酒のスペシャリストの
市川さんのセレクトが評判の店。
店名のとおり、レアなヴィンテージワインとともに、
市川さんも魅了され、お店をオープンするきっかけのひとつにもなった
ヨーロッパの自然派ワインも種類が多く、めずらしいものが手に入るとファンが多い。
ワインは試飲ができ(有料)、落ち着いたカウンター席で
ゆっくりと好みのものをセレクトができるのも魅力。
気心の知れた仲間といっしょに楽しめるワイン会、ワインセミナーも開催中。
詳しくは公式ホームページを。
8月24日<2018年>には、自然派ワインのお話や、夏向けのテイスティングが
楽しめる自然派ワインセミナー(参加費1000円)を開催。
公式ホームページ
http://vintagekb.com
ビオワインの魅力とは? なぜおすすめ?
フランス語でヴァンナチュールと呼ばれている自然派ワイン、ビオワイン。
有機栽培でぶどうを育て、補強や補酸をせずに自然のままの味わいを
大切につくられているワイン。
単に健康志向というだけではなく、
そのワイン本来の味わいが楽しめるのが魅力です。
ビオワインは、オリ(旨み成分)がたまっていることからもわかるように
一般的なワインのように何度もろ過をして作るのではなく、
ほとんどのものが無ろ過で作られています。
自然のままの味わいが残り、ぶどう本来のフレッシュな味わいはもちろん、
その土地でなければ出せないテロワール <風土、土壌、気候>の香りや
味わいを楽しむことができるとても個性的なワイン。
酸化防腐剤が無添加だったり、ごく少量だったりするため、
二日酔いになりにくい、頭痛がしにくいと言われているのも人気の理由のひとつです。
豆知識 ビオワインの農法とは?
自然派ワインにはさまざまな農法があります。
それにともなって定められている規制や栽培法もさまざまです。
代表的な農法3種類をご紹介しておきましょう。
ビオロジック農法
殺虫剤や除草剤、化学肥料などを使わず、自然を尊重して農作業をおこなう
オーガニック<有機的>な農法です。
自然環境を配慮して作られている、人にもやさしいつくりです。
ビオディナミ農法
オーストラリアの哲学者、ルドルフ・シュタイナーの思想にもとずき、
生物の潜在力を引き出して、土壌に活力を与えて作物を育てる有名な農法。
例えば畑には、たんぽぽやカモミールなど、自然の物から作った調合材を
散いたり、ぶどうの樹の植え替えや剪定などの作業を天体の動きにそって
おこなう農法です。
リュットレゾネ
化学肥料や除草剤などは極力使わずにおこなう(ぶどうの病気などに必要な時のみ
規制に基づいて使用する)、減農薬農法と呼ばれる農法。
ぶどうに病気がつきやすい、天候に恵まれない環境下の地域で用いることが多く、
一見、緩い農法のように思いがちですが、ビオロジック農法など他の農法をしのぐ
厳しい作業に取り組んでいるワイナリーも多く見られます。
暑い夏にもぴったり! ヴァンナチュール、ビオワインのおすすめ!
ビオワインは、ヴィンテージワインのように、ねかせ、
熟成した味わいや香りを楽しむワインではなく、
買ってすぐに気軽に楽しみたいワインです。
飲む当日か、前日に買って味わうのがおすすめです。
熟成させるのではなく、気軽に楽しむとは言っても、
自然派ワイン、ビオワインは、ワイナリーそれぞれの土壌や気候、
風土などのテロワールの特徴やつくり方、
ぶどうの個性などによって複雑な味わいが醸し出されるワイン。
気軽に楽しみながら、まるで熟成したような個性的な味わいが楽しめるのも
ファンが増えている理由です。
市川さんに、夏におすすめの自然派ワイン、ビオワインを選んでいただきました。
さらにおいしく楽しめる、相性のいい料理のワンポイントアドバイスも!
夏はとくに、白や、スパークリングは冷たく冷やして、
スパークリング以外の赤は常温で楽しみましょう。
<※紹介をしているワインの年代は2018年7月現在のものです>
■マルケ オーガニック ロッソ 2016
■マルケ オーガニック ビアンコ 2016
ワイナリー モンカロ
ロッソ<赤>はベリーなどの果実、ビアンコ<白>は白い花を思わせるような香り。
軽やかでフルーティーな味わいで、ピッツアやパスタ、カルパッチョ、
オーソドックスなトマト料理など、カジュアルなイタリア料理にあわせると、
さらにおいしさが際立ちます。
赤は肉系に、白は魚料理にぴったり。
各1500円。
■ノール オ シュッド 2016
ワイナリー ドメーヌ・ブスケット
パイナップルやアプリコットのようなフレッシュフルーティーな香りにとともに、
紅茶やハーブティーのような香りが楽しめる、フランス産の白ワイン。
サンドイッチやハンバーガーなどとも相性がよく、スイーツといっしょに楽しむにもおすすめの一本。
2500円。
■ レザミ 2013
ワイナリー ドメーヌ・ド・スローズ
プロヴァンスの明るい、陽気な土地で生まれた、個性的なアロマが特徴の
ミディアムボディな赤ワイン。
赤ワイン用のコクのあるぶどう品種、シラーで、新酒のボジョレー・ヌーヴォーを
つくる製法、マセラシオン・カルボニック方式でつくられています。
暑い夏に食べたいカレーなどのスパイシー系や、濃い味つけの料理にもおすすめ。
3000円。
■ノファサ ブラン2016
ワイナリー ドメーヌ・グラン・クレレ
自然派ワイン、ビオワインはエチケットなどのデザインも
楽しいものが多く、この、フランス、ロワール地方のワイン、
ノファサもイラストがかわいい。
白ぶどうを使って赤ワインの作り方でつくるオレンジワイン製法で
作られている白ワイン。
酸味が強いワインで、豆のような風味がします。
煮物などの和食料理や、ポテトサラダやマカロニグラタンなど、
ホワイトソース系の料理にあわせるととてもおいしい。
3500円。
■スーパー モデスト 2016
ワイナリー ドメーヌ・デ・スローズ
市川さんが自然派ワインに強く惹かれるきっかけとなった、絶賛の1本。
水のようにさらさらの、白の微発泡酒、ナチュラルペティアン。
酸化防腐剤不使用で、ボトルを透かすとオリがたっぷり。
つまり、ぶどう本来の旨みがぎっしりなのです。
飲みはじめはレモンピールのような酸味のあるニュアンスで、
飲み進めるうちに完熟した柑橘系の甘みが楽しめる、
酸味と果実のバランスがベストマッチなワインです。
料理は和洋問いませんが、夏場に、肉料理などをポン酢やしょうゆなどで
さっぱり味わいたいときにもよくあう、おいしいワインです。
4000円。
自然派ワイン、ビオワイン、マークの豆知識。
ヨーロッパの自然派と呼ばれているワインには、
ワインの原料のぶどうに対して有機であることを証明する
公的な認証機関があります。
エチケットの裏などには各国で定められた検査に合格した、
認証団体のマークがつけられています。
各国でさまざまな認証団体がありますが、主なものは、ABマーク、
ユーロリーフ、エコセール<ECOCERT>、デメテール<demeter>など。
そのなかでもとくに、日本で手に入りやすいヨーロッパの自然派ワイン、
ビオワインにはABマークと、ユーロリーフマークが多いそうです。
ABマーク
フランス農水省が監修する有機農物認証マーク。
成分中95%以上を有機農産物由来の原料で作られている食品のみ認められているマーク。
フランスの消費者の間では信頼度が高いマークのひとつ。
ユーロリーフ
EU産有機農産物認証マーク。EUの厳しい検査規定に合格した生産方法、
製品にだけ用いることができるマーク。
食の安全を保証しています(2010年7月からロゴマーク刷新)
ただし、生産者によっては有機認証を得ていてもラベルに載せなかったり、
厳格な有機農法によるものでも認証を取らないこともあるそうです。
つまり生産者の考え方次第のようなところも。
ヴァンナチュール、ビオワインはできれば自然派ワインに詳しいワイン専門店や、
信頼のできるショップで購入をするようにするのがおすすめです。
いかがでしたか?自然派ワイン、ビオワイン。
ここ数年のうだるような暑さの夏にはとくにぴったりですね。
1日の終わりに、おいしい個性派の香りや味でのどを潤しましょう。
プロのおすすめ、まずは1本、ぜひお試しを!
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