スマホデビューの春が肝心! 中学生[スマホ][LINE]実例トラブルと対策

■この記事を書いた人
kope
専門雑誌編集者を経て、2人めの出産を機にフリーエディターに。フラと校正が趣味。字を書くこと、人と話すこと、コーヒーが好き。

春ももうすぐそこですね。
新中学生になるご家庭は、入学説明会や制服の採寸や注文など、準備も大詰めといったこの時期。
そして「そろそろスマホかな…」と考える時期でもあります。

電車などで通学し、行動範囲も交友範囲も広がる私立中学へ進学する場合は心配が増えるのも想像できますが、地元の公立中学でも部活に塾にと帰宅時間も遅くなるため、小学校卒業と同時にスマホデビューを検討する家庭も増えています。

しかしスマホを持つことで便利な一方、LINE(ライン)で友達同士のトラブルに巻き込まれたり、悪気はなくとも勝手に写真を撮って載せて問題になってしまったり、使い方によっては大きな事件になることもあります。

これからスマホデビューを考えているご家庭に、特に持ち始めで心配なLINEで実際にあったトラブルや、導入時に気を付けたい点をご紹介したいと思います。

スマホデビューが増える小学校卒業時と背景

携帯を持たせていなかったり、キッズ携帯だったりした小学生時代から、卒業間近になるとちらほら「スマホを買ってもらった」という話題が増えてきます。

仲の良かった友達と中学が分かれてしまい、これまでのように話をするためにお互いスマホを持つというケースも多いようです。

数年前ではあまり見かけませんでしたが、キッズ携帯を飛ばして小学校4、5年生で最初からスマホという家庭も見られます。

また、まだ学年全体から見れば少数派ですが、一部の友達同士で「みんな持っているから」と携帯ゲーム機のような感覚で持ち始め、LINEしあっている小学生たちも周りにいます。

大人は「毎日会ってるんだから、学校で話せばいいでしょ!」と思ってしまいますよね。

しかし、DSが大流行したころのように「持っていないと一緒に遊べない」「持ってないと仲間に入れてもらえない」という状況もあるようです。子どもにしたら深刻な問題になりつつあります。

このようにスマホを持ち始める時期の低年齢化スピードの速さを感じる昨今ですが、必ずしも悪いことではなく、GPS機能や緊急時の連絡手段など、子どもを心配して持たせているご家庭も多いのは事実。

しかし、使い方によってはさまざまなトラブルに巻き込まれてしまいます。

大人の想像以上⁉ スマホのトラブル

総務省が警鐘している「スマートフォンやインターネットによるトラブル」として挙がっているのが、以下のような問題です。

(1)スマホの過度な使用による日常生活への支障
(2)無料通話アプリなどでの悪口や仲間外れ
(3)なりすまし投稿による誹謗中傷
(4)個人や学校などへの脅迫行為
(5)SNSやネットで知り合った人による性犯罪被害
(6)コミュニティサイトなどを使った未成年によるアプローチ
(7)友人間で回すメッセージによる待ち伏せ被害
(8)SNSなどへの投稿内容から個人が特定
(9)旅行中の写真登校や書き込みによる空き巣被害
(10)自らIDとパスワードを教えたことによる被害
(11)ゲームに夢中になっている最中に生じた高額課金
(12)オンラインショッピングやフリマアプリでのトラブル
(13)ワンクリック詐欺やウイルスなどによる不当請求
(14)不正アプリやウイルスによる個人情報漏えい
(15)悪意あるWi-Fiスポットを利用したことによる情報流出
(16)動画の違法なアップロードとダウンロード
(17)自分でプログラミングしたウイルスをアップロード
(18)心のよりどころだったSNS上の知人による誘い出し

(総務省『インターネットトラブル事例集 平成29年度版』より抜粋)

トラブルになる要素が多すぎて「こんなにあるの?」「大人でも知らなかった」というようなものもあり、驚くほどです。

私たち大人が実情を知らなければ防ぐ対策も立てられません。

詳細は総務省ホームページにある「インターネットトラブル事例集」

http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/kyouiku_joho-ka/jireishu.html)で見ることができます。

スマホデビュー「LINE」トラブルの実例

犯罪にも絡んだトラブルも想定されるのですが、スマホデビューのころのトラブルといえば、やはりLINE。

これは“スマホを持ったことをどの範囲まで公にするか”によっても大きく異なります。

スマホを持ったことを最初は公言せず(子どもは言いたくなりますが)、本当に親しい友人とだけLINEをするためのスマホと決めておけば安心です。

親としては、子どもの行動範囲が広がることや、塾など帰宅時間が遅くなることを心配して持たせることがほとんどだと思います。

その点を最初に言い聞かせ、むやみに子ども同士で連絡先を交換する必要はないのです。

しかし、「●●ちゃんもスマホ持ち始めたよ」ということはあっさり広まってしまうもの。

そして、スマホデビューが増える小学校卒業から中学入学の時期、LINEができるうれしさについついのめり込んでしまいがちです。

ここでは、筆者や主婦へえ編集部の周囲で実際にあったスマホデビュー時のLINEトラブルを紹介します(イニシャルは変更しています)。

犯罪に及ぶ怖さのものとは異なりますが、長時間利用や情報漏えいにもつながりかねない事例がいくつかありました。

★実例その1[我が家と友達の家とのルールの違い]

一番仲の良い友達が私立中学に行ってしまったため、連絡を取るためにスマホを買ってもらったMさん。

親とは「LINEはその子とだけ」という約束でしたが、友達の方はいろんなクラスメイトとLINE交換。おのずとMさんもスマホを持ったと知れ渡りました。

「なんで教えてくれなかったの?LINE交換しようよ」と次々に言われ、断れず。

中学に入学してしばらく緊張の毎日だったところに、遅くまで続くLINEに疲れ、入ってすぐの部活をやめてしまいました。

★実例その2[タイムラインが筒抜け]

筆者のママ友Kさん。

ある晩、『Kさんがこの投稿を気に入っています』と表示されたのが子どもの友人Rちゃんのタイムライン。

「あれ? Rちゃん、スマホ持ったんだ…」と思いながら、タイムラインを読みました。

そこにはRちゃんが仲間内に向けて書いたであろう、個人名がどんどん出てくる日記のような内容。

「いいね」している子の名前も出るので、子どもの友達の多くがLINEをしていることを知ることに。

そっと、Rちゃんのお母さんに教えてあげました(Rちゃんもお母さんも驚いてました。設定を変え、タイムラインに書く内容にも気を付けるようになったそうです)。

★実例その3[女子の軽い実況報告で炎上]

中学校の友達男女6人と保護者1人でYランドへ遊びに行ったときのこと。

仲間全員スマホを持っていることもあり、息子もデビューさせたばかりでした。

みんなで絶叫系マシンに乗ったとき、隣にいた男子に不意につかまった女子のことを、ある1人がクラスのグループLINEに「AくんとKちゃんが腕につかまってなんかいい感じ♡」と冷やかしで報告しました。

そのLINEを自宅で見たほかのクラスメイトから、「マジ?」「付き合ってたの?」「2人の画像送って~」「リア充死ね」などとあっという間に100件以上ものメッセージが膨れ上がって炎上状態。

来ていないクラスメイトに軽い気持ちで教えたつもりだった最初の送信者も叩かれ、誘われていないことに腹を立てる子も出てさんざんなことに

遊びに行ったはずのYランドなのに、ずっと友達が炎上の火消しをする姿に最初は盛り上がっていたという息子も、すっかりLINE恐怖症になりました。

★実例その4[朝起きたら未読が4ケタ?]

受験勉強を乗り越え、私立中学に入学したTちゃん。

これから電車通学になるからと、スマホを買ってもらいました。

地元の中学ではないので、知らない子ばかりの入学式でしたが、知らない子ばかりなのはみんな同じ。

初日から誰が誰だかよく知らないままクラスでLINEの交換会に。

Tちゃんのスマホは夜になるとお母さんが預かっています。

朝、お母さんが見たらLINEの未読が4ケタに!

デコ文字が出始めで、「お」「つ」「か」「れ」など、1文字ずつ打つのが流行っていたらしく、この膨大な未読メッセージの量。

古いものは見切れないとあきらめかけているTちゃんですが、まだよく知らない間柄だし、「何か大事なことが書いてあるかもしれないし、未読のまま学校に行けない」と言い、朝早い電車に乗っていかなければならないのに、さらに朝早く起きてラインチェックに相当な時間を取られる日々。

お母さんは寝不足とLINEのストレスを心配しています。

導入時にできるトラブル対策

前述したLINEのトラブルは、

・「うちは夜、親が預かっているから返信できない」と伝えておく
・入学早々や、小学校の友達でも、やたらにLINE交換しない

といった対策が考えられます。

タイムラインの公開範囲など、各種設定については、「LINE」ホームページの【ヘルプ】で使用する機種別の方法を確認できます。

しかし、設定以外の方法は実はあまり効果がありません。

子供どうしで断れないさまざまなシーンが多いのも理解できます。

自分がLINEに書き込むときは、最低限、

・相手を確認(慌てると違うグループに送って自爆することも)
・その場にいない人が想像できないこと(誤解を生じること)をむやみに書かない
・書いた文章を一呼吸おいて読み返す

を徹底して教えたいものです。

作家の田口ランディさんは、著書で自身の娘さん(当時大学生)に、
「スマホはトラブル発生装置で、あなたを人間的に成長させるために時代が生み出したもの。現代版の修行の道具。そう思って使うといい」(『ありがとうがエンドレス』田口ランディ・晶文社より抜粋)と書いています。

防ぎようのないトラブルがどうしても生じてしまうことがあります。

自分の子どもに非がなくても、別の子が画像を載せてしてしまったり、裏で悪口を書かれたりまでは防げません。

親もある程度の覚悟で持たせる必要があるのではないでしょうか。

自画撮り被害は中学生が最多

出典:警視庁・文部科学省「夏休みを迎える君たちへ~ネットには危険もいっぱい」)

グループ外しや炎上などが気になる一方で、1対1のラインやメールのやり取りで生じるトラブルもあります。

中学生に被害が多いのが自画撮りの送受信です。

身近な画像のトラブルといえば、

・勝手に撮って許可なく第三者に送ってしまう
・個人が特定される背景の写真や文章を付けて公開してしまう

というものがほとんどです。

しかし、警視庁・文科省資料の円グラフのように、だまされたり脅されたりすることで、裸や下着姿といった写真を送ってしまうのも、中学生が半数を占めているそうです。

自画撮りしたものを送ったり送らせたりする相手は、悪い大人とは限りません。

親も知っている子どもの友達(交際相手)の場合もあります。

好きな人だから…と納得して送っても、LINEの画像はあっさり転送できてしまいますし、眠い時間に触っていて誤操作してしまうことだってありえます。

・自画撮り画像は、誰に頼まれても撮らない、送らない
・たとえ付き合っている相手にでも撮影を頼まない

これは子どもの性別に関係なく、きっちり教えましょう。

「18歳未満の子供の裸の写真は、「撮影」も「送信」も「所持」も児童ポルノ禁止法違反」(総務省『インターネットトラブル事例集 平成29年度版』より)です。

一番大切なルールは「困ったときはお母さんに話して」

持ち始めたばかりのスマホ。やはり親の心配はその通りになり、トラブルはつきもののようです。

利便性や安心のために持たせたいという目的と、子どもたちの使い方の不安や悪用される心配のどちらもあるため、「あるといいけど、とりあえずまだいいかな」とも思ってしまいがちです。

スマホがトラブル発生装置であっても、いざというとき連絡が取れて安心した!ということも多々あります。

まずは大人がスマホについてよく知ることから始め、「困ったときはお母さんに話して」
と強く伝えておきたいものです。

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