「#PTAやめないの私です」 主婦が自分をレベルアップさせるコツ

すっかり秋ですね。今年は残暑厳しい日がたまにしか訪れず、秋運動会の練習も比較的安心して見ていられますね。
来年、新入学を迎えるお子さんのいるご家庭では就学前健診などもあり、秋は新年度に向けてのワクワクとともに不安も募る時期。

秋といえば、来年度のPTA役員決めが始まる季節でもあります。

PTAと言えば記憶に新しいのが、「#PTAやめたの私だ」というハッシュタグ。
私はTwitterをやっていないので、このタイトルにハッシュタグをつけようが認知も拡散もされませんが、私はPTA活動をやめるつもりはありませんし、実際やめたくてもやめられない人がほとんどだと思います。
そこで、日ごろなにかと主婦の間で話題になる「PTA問題」について、考えてみました。

■この記事を書いた人
kope
専門雑誌編集者を経て、2人めの出産を機にフリーエディターに。フラと校正が趣味。字を書くこと、人と話すこと、コーヒーが好き。

PTAやるか、やらないかは任意である

前述した「#PTAやめたの私だ」という方のブログを拝見しました。
発言当初、ネットニュースでちらっと見ただけのころは、「面倒だし、任意なんだから入らない」と決めつける、いわゆるモンペな方かと思っていました。
しかし、ブログを拝見して失礼な先入観だったと反省しました。お子さんが小学校時代は本部役員も経験し、いろいろ苦労されたようです。

そこでお子さんが中学入学の際、PTA非加入とすることを決め、本部役員や校長先生にもお手紙を出されました。
引き止めや反発が予想されましたが、円満に非加入が認められ、お子さんが不利益を被ることなく過ごされているようです。

最近ではご存知の方も多いようですが、PTAへの加入は任意です。

保険で例えると語弊があるかもしれませんが、「入るか、入らないかは任意なのに、入学したら保険に入らされ、保険料が取られていた」という感じでしょうか。

多くの学校は入学と同時に、意思の確認は特になく、入学式の瞬間には「はい、今年も入学されたお子さんの保護者のみなさん、全員加入です!」という雰囲気になり、気づけばPTA年会費(保険で言えば保険料)を振り込むよう促されます。
ちなみに、入学時に届く書類をよーく読むと加入の文言はあります。うちの小学校は入学式後、PTA副会長の挨拶のなかで簡単な説明がありました。

PTA会費は振り込みの学校や、給食費の引き落としを指定した口座から引き落とされる学校もあるようです。
振り込みの学校は放っておけば、本部の会計さんから催促があるくらいですが、引き落としの学校では「PTA入りません!払いません!」と明確な意思を文書などで示さないと、自動的に引き落とされてしまうこともあるでしょう。

PTAをやめられないのは、単に雰囲気です

小学校新入学を迎えるお母さん方で、特にフルタイムで働いている方などは「PTA大変そう」「面倒くさそう」「時間の無駄」「有給休暇がもったいない」などと思っているのではないでしょうか。きっとそういう方が全国に大勢いるでしょう。
嫌なら入らなくてもいいんですよ。

一億総活躍国民会議の民間議員に選ばれたタレントの菊池桃子さんが「任意にもかかわらず、すべての者が参加するような雰囲気作りがなされている。働くお母さんたちにとっては、PTA活動っていうものが難しい」と発言されました。
そのためか、「PTAに加入するかどうかは任意である、強制ではない」ということは最近多くの方が知るところとなりました。

埋め立てられた新興住宅街やマンモス校の横に新設されたような新規校もありますが、おおよその学校はお母さん方が生まれる前から創立されています。脈々と「PTA全員加入」の雰囲気は続いているのです。
これまで「PTA入りません」と言った方がいたり、非加入を認めたりした前例のある学校は少ないでしょう。まだまだ最初の一人になりそうです。
やめると言う勇気を出すかはあなた次第なのです。

嫌でも推薦されたりもするPTA役員制度

やめると言う勇気はとりあえずないから加入はするけど、役員はやらずに済めばいいのに…と思うのがフツウかもしれません。その方が楽ですものね。
しかし、立候補する、しない、推薦する、されるなどにかかわらず、PTA役員はほぼ義務という学校が多いでしょう。
1世帯1回だったり、子ども1人あたり1回だったり。
読者のみなさんには、もう義務である1回をやり終えた方も多いと思います。
「もう二度とやりたくない」と思っている方もいるでしょう。

兄弟姉妹が多かったり、年子だったり、中学受験するご家庭だったり、下の子が小さかったり。「いつやっても何かしら大変そう…義務なのでいつかやるけど…」という消極的な人がほとんどだと思います。

2学期が始まり半月、例年通り「役員立候補者推薦のお願い」というお手紙が、小学校、中学校のどちらからも届きました。

「PTA役員なんて、できればやりたくない」という人が大多数。
なのに、こっそり誰かに名前を売られるかのごとく書かれる、この恐怖の推薦制度。
我が家も毎年、誰かに恨まれているのか(苦笑)、「お名前が書かれていたので」と指名委員さんから電話がかかってきます。
推薦は無記名なので、誰が書いたかはわかりません。
「議員選挙の街頭演説の『ワタクシ〇山〇男は、●川●彦くんを推薦いたします!』みたいに、推薦するなら記名制にしようよ」と思ったり、思わなかったりしています。

入った人は役員が義務なのに、私だけ入らず、やらずでも大丈夫?

PTAに加入したら役員1回は義務、というところが多いのですが、加入は任意ですので役員もやらなくたって大丈夫です、たぶん。
でもけっこう強いメンタルが必要かなと思います。
「付き合いがめんどうくさそうだから」という程度の理由だと、6年間のうち、どこかで心が折れるでしょう。

ネットには「非加入になったらお便りが配られない」「おまつりなどの行事に参加させてもらえない」「卒業式の記念品がもらえない」といったネガティブなものが目につきますが、たしかにPTA会費で賄われているもの、そしてPTA役員の労力で成立しているイベントはたくさんあります。

そもそも通学路の安全を見守る当番をしているのはPTA役員さんや、役員さんが決めた順に持ち回りでやっている保護者(=PTA会員)です。

公立私立の違いや、地域によってそうでない学校もあるとは思いますが、お便りの印刷に使うコピー機もインクもPTA会費から出されますし、不審者入校を防ぐ防犯のためのネームタグ、安全のための旗ふりやパトロールの旗や腕章といった物品、PTA行事のおまつりなどは当然役員さんたちが平日や休日に時間を割いて企画・準備し、相当な努力で実行されています。

一方、卒業式で贈る先生方への花束や寄せ書きのためのアルバム、子どもへの記念品などは6年生に限ったものですので、いわゆる「卒業対策委員」「卒業関連ボランティア」などが別途結成され、6年生保護者のみに意思を確認し、集金されますので、PTA非加入でも問題ないと思われます。
別途ボランティアを募ることなく、6年生の学級代表委員(PTA役員)が仕事として卒業対策関連を兼ねる学校もありますので、ここは問題になりそうですね。
なかには、6年生の集金として教材費のような感覚で一律に集められるところや、公費で賄われるところもあるようです。

考えてみましょう、保護者が非加入の子どもにいじわるすると思いますか?

お便りが配られなかった、おまつりに参加させてもらえなかった、なんて言ってみればいじめに近いですよね。
ネットではそういった話があふれていますが、実際にそんなにある事例なのでしょうか。
「あそこのうちはPTA会費払ってないから」なんて、いちいち考えて省いているほうが面倒ですし、一部の本部役員や学級代表委員以外は、誰が非加入なんておそらく知ることなく過ぎていきます。

とはいえ、噂で広まることもあるでしょうし、「ずるい」「ちょっと変わった家庭」と影で言われるかもしれません。
しかし子どもに罪はありませんので、たいていの場合、「あそこの子も呼んであげればいいよ」「最後なんだし、記念品くらいあげようよ」となると思われます。

しかし、1人や2人、「う~ん、でも払ってないんだよね」という人もいるものです。
「PTAに入らない」という選択をする人がいるように、「PTAに入らないなら利益を受ける権利はない」という人もいると考えた方がいいでしょう。
これがPTA問題の根幹なのでは?とも思う、労力や会費の「不公平感」です。
いじわるやいじめではなく、お互いが権利を主張したらこういった問題が生じるのは仕方ありませんよね。

私が「みんなPTAやればいいのに」と思う理由と、私が見た母の背中

前述の「#PTAやめたの私だ」の方はざっくり言うと、実際にPTA活動をされてみて、嫌々やられている方が慣例でやっている行事など、そんなのは組織として認めることができない、そこに入ることはできないし、なんとなく入ってやりすごす背中を子どもに見せたくない、ということが書かれていました。
勇気ある決断、そして行動力はすごいと思います。

30年ほど前、私の母はPTA活動に熱心だったわけではありませんが、順番が回ってきたという理由で子供会の役員を2年勤めていました。母は運転ができないので、運転できる方が副会長、遠出の際は車を出してくれる代わりに母が会長、というように話し合いで役職も決まったそうです。
その後、中学のPTA、さらに町の婦人会でも衣装部長(時代を感じますね)をやりました。

在任中は子供会ドッヂボールチームのユニフォームを新調したり、家庭科室を使ったコーヒー教室やリサイクルバザーを企画したりと、校長、教頭先生や他の地区の役員の方たちと協力して仕事をしていたことを、今でも覚えています。学校に母が来ていることも、何となくうれしく思いました。

子どもの学年も性別も違う、家もそう近くない、自分たちの年齢も出身地も違う、そのときはお父さんがPTA活動されてる家庭もありました。そんな人たちと知り合って一緒に仕事をする機会なんて、実際の職場以外にはPTAくらいでしょう。
そういった付き合いが極端に苦手という方もいらっしゃいますが、母は苦ではなさそうに役員活動をしていました。

私がそんな母の背中を見て育ったからという理由だけではありませんが、私も実際に小学校、中学校で役員をやり、会計監査や卒業対策ボランティアもやりました。中学ではくじ引きだったとはいえ、第一子で右も左もわからないなか副委員長をやりました。

やった、やらないなどの「不公平感」はゼロにはならないと思います。
でも私は単純に「PTA役員、みんなやればいいのに…」と思っています。
過去には私も「ちゃんとやる人と、なんだかんだいってスルーする人がいて不公平だ」と感じることもありましたが、非加入を選ぶのではなく(正直そんな勇気もありませんし)、むしろ今ではPTA活動は得るものがあると思っているのでやっています。

改革だって、できればやればいい


「あの人ヒマそうだよね」と周囲に思われているかもしれません。なので毎年、誰かが立候補者推薦用紙に私の名前を書いているのでしょう(苦笑)。
しかし、嫌々やっている人が多いとしても、スルーする人がいても、私は楽しんでやっている!という背中を子どもに見せたいと思いました。もちろん私の背中、子どもはじっくり見てくれなくていいんです。実際に息子なんて私の背中なんて見てませんでしたし(泣)。

PTA組織のあり方、運営が時代にそぐわないことや、ほぼ義務である体制などに問題はあるかもしれません。
子どものための役員なのに、子どもを留守番させて休日や夜に会食やら接待やら、本末転倒だと思うことを減らし、省略化できることや、もっとシステマチックにできることもあるでしょう。

改革は同時期に同じ意思や熱意をもった方が集まったり、実際にはアンケートを取ったり、学校と話し合いを持ち、数年がかりで取り組んでいったりしないと難しい問題でしょう。
とはいえすでに取り組んで成果を出している学校もありますし、今後増えていくかもしれませんね。

面倒だから、しよう


「面倒だから、しよう」は、私がときどき読み返す本のタイトルです。

役員決めをスルーする人はけっこういますし(なかには嘘をついている人もいるそうです)。
くじで選ばれて仕方なく1年務めることになっても、あまり定例会に来ない人も見聞きしてきました。
もちろん一生懸命できる範囲で取り組んでいる方のほうが多いです。

どうせ見られる親の背中なら、嫌々取り組んだり、愚痴を言ったり、適当にやり過ごす姿ではなく、単にママたちとの付き合いが面倒だからやりたくない、といって拒絶するのではなく、楽しそうに広報を作ったり、おまつりを企画したり、そんな姿を見てもらいたいなぁと、単純に思います。

PTAが面倒だからといって避ける姿を見せたら、子どもが父親や母親になったとき、同様にPTA活動をやらなくなるんじゃないか、と思ってしまいます。特に明確な意思がなく、「親もやってなかった」という理由ではちょっともったいない気がして。

面倒なことをきちんとやっている姿って、けっこういいのではないでしょうか。

【わたしの レベルが あがった にんげんりょくが 1ポイント あがった】


朝早くの旗ふりや下校時のパトロール、平日午前の定例会など、フルタイムのワーキングママさんにはハードルが高いことも多いと思いますが、実際にやってみると、周りのみなさんがフォローしてくださることが多いのです。
ネットで見るような「有給休暇取って行ってみたら、何も決めずに延々と噂話」という学校はおそらく稀です。

やってみて学校の内情に呆れること、疲れること、胃の痛くなること、理不尽さに腹の立つこともたくさんあります。嫌々やっている方を間近にしてテンションが下がることも確かにあります。

でも!それでも!私は楽しさを見出し、淡々とやることで自分のレベルが上がったと思うことにしました。

PTA活動は任意です。そしてボランティアです。
やりたくないけど非加入を選ぶ人はまだまだ少ないでしょう。
やる、やらないは自由ですし、いざ決まってからも手を抜くのも自由です。
しかし、決まった以上手を抜く姿を子どもに見せたくありません。
ずる休みや嘘の理由で「できません」とも言いたくありません。
ちょっとの時間や仕事の融通や努力でできるなら、とりあえず「できません」と委員会のグループLINEに返信する自分では、やっぱり恥ずかしいです。
「わたしの レベルが さがった」にはしたくありません!

「#PTAやめないの私です」


「改革してPTAなくしてみたけど、なくても困らなかった」という学校もありますね。
もちろん、それもアリだともいます。何ごともWin-Winなら言うことなしです。

でも子どもが楽しみにしているおまつりがあるなら、運動会にお手伝いが必要なら、地域の方が読んでくださる広報誌があるなら、ベルマークで何か備品に交換できるなら、何より登下校の安全は多くの目で見守れたらいいと思うので、私はPTAという組織があっていいと思っています。
やれる範囲できちっとやる。やっぱりやるなら楽しむ。
私の周りには幸い、いっしょにやってくれるお仲間がいて、そんな体験や周りから聞いた話がもとになって、今はこのように考えることができています。

結局、私は何がいいたいかというと(苦笑)。
PTAという組織がある学校なら、とにかくやってみるといいと思う。
改革中の学校なら、一度考えてみるのもいいと思う。
もうすでになくした学校なら、ぜひボランティアで学校にどんどん関わったらいいと思う。

みなさんの学校はどうですか?

追記

PTAの現状は本当に学校による違いや地域差もあって、やり方もあり方もさまざまだと思います。
私の育った田舎(前述した母が委員を務めた小学校)では、いまや少子化も少子化、交通安全当番は人が足らず(同じ人が何回もやらないとならなくなるため)、老人会のボランティアに頼っているそうです。
保育園にしろ、幼稚園にしろ、小中学校にても、高校にしても、「やりたくないからやらない」と言えるのは、もしかしたら人が足りているから言える、全員には回らずやらずに卒業できる人がいるなら、やるほうが損、と感じてしまう面もあるのでしょうか。

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

シェアする