もうすぐ年末、そしてお正月。
都心から地方への帰省だけでなく、年始には親せき数家族で集まったり、新年会を開いたりと、何かと人が多く集まるこの季節。
アレルギーっ子を持つご家庭は心配も増えますよね。
筆者の娘も複数のアレルギー持ちで、ぜんそくコントロールをしています。
また、アナフィラキシーショックを起こしたこともあるので、寒い戸建てや大勢の集まり、大皿料理、食べ慣れない食品や帰省土産のお菓子など、いつも緊張します。
今回は、実体験含め、ご家族にアレルギーのない方にも知っておいていただきたい、帰省時に注意すべき対応について考えてみたいと思います。
筆者が実践しているポイントも書き出しましたので、何か一つでも参考になればと思います。
kope
専門雑誌編集者を経て、2人めの出産を機にフリーエディターに。フラと校正が趣味。字を書くこと、人と話すこと、コーヒーが好き。
Contents
帰省時のアレルギー注意点~実家への移動編
これは春休みの話ですが、我が子が年中さん当時に帰省した際のこと。
アレルギーは多々ありましたが、まだ小児ぜんそくと診断される以前でした。
神奈川県から新幹線で帰省。
神奈川は暖かいほどの気候で、新幹線車内も汗ばむほどでした。
しかし、実家最寄りの新幹線停車駅(ここからさらに1時間以上かかりますが)で下車したと途端、強風で気温も低く、猛烈に寒い!
このためか一気に体調を崩し、咳が止まらなくなりました。
帰省中、医療機関を受診し、気管支炎と診断されました。
もちろん衣服は調整できるものにしていましたが、子連れ2人の新幹線移動で荷物を最小限にしていたため、慌てて防寒具や暖かめのズボンを買い足すことになりました。
大人なら適応できる気温差でも、子どもにとっては負担だったようです。
<対策ポイント>
★多少面倒でお金もかかりますが、あらかじめ着替えを余分に宅急便で送っておく ★混む朝の時間を避け、ゆっくり出発したくなりますが、当日中に病院に行けるよう、午前中に移動する |
帰省時のアレルギー注意点~実家滞在・暖房器具編
実家も、主人の実家も古い木造戸建てです。
すき間風が寒く、部屋ごとの寒暖差も大きいことが悩みです。
床暖房などはなく、灯油ファンヒーターかエアコン。
冬場は廊下に出たとたん極寒という状態で、朝一番などはストーブにかじりつくようになります。
灯油ファンヒーターは背面がほこりだらけになっていたり、エアコンもクリーニングしていなかったりです。
到着前に掃除しておいてもらうようお願いしましょう。
<対策ポイント>
★暖房器具の掃除をお願いする ★温風の出る暖房器具のある部屋の掃除は入念にしてもらう、もしくは自分で行う ★加湿器は、できれば吹出し口などが熱い加熱式ではないタイプを用意してもらう ★おしりふきのような大きめのウエットティッシュがあると、ちょっとしたほこりも簡単に拭きとれるうえ、お姑さんにも知られずさっと掃除できて便利 |
帰省時のアレルギー注意点~実家での食事編
母や義母は当然知っていますが、最近では、「アレルギー、なにがダメなんだっけ?」と聞いてくださる叔母やお友達も増えてうれしい限りです。
しかし、やはり集まった全員が知っているというわけではありません。
父や義父も怪しいところです。
アレルギー食品を摂取しないことはもちろんですが、できればおせちの材料としても使わないようにお願いします。
「母は高齢なので、おせち担当は現役主婦の私」という場合などは、材料に配慮したおせちを手作りするのもよいですが、アレルギーに配慮した市販のおせち料理もあるので、利用するのも手です。
タカシマヤのオンラインストアなどで、アレルギー配慮おせちの取扱いがありました。
品切れになる前に要チェックです。
娘が卵アレルギーで完全除去だったころ、おせちに入れるかまぼこやハム一つ買うのにもスーパーをはしごしました(卵白が入っているのです)。
義母が年末の混みあったスーパーで、目についたかまぼこをそのまま買っていたこともあります。
娘にとって、見た目は同じピンク色のきれいなかまぼこです。
「家では卵不使用のかまぼこやハムを食べているので、おせちのかまぼこやハムも大丈夫だと思って、食べてしまった」ということになりかねません。
とはいえ、卵不使用かまぼこなどは少なく、高価だったりするので、ほかの大人用に普通のかまぼこも購入するため、取り分けおせちを作ります。
年越しそばも、負荷試験で陰性とわかるまで全員食べませんでした。
<対策ポイント>
★子ども用に小さな和風のお弁当箱を持参。重箱の雰囲気も出しつつ、おせちを分ける (お皿でもいいのですが、娘よりも小さな従姉妹などが同じ箸で手を出してしまうため、見た目にはっきり分けます) (https://item.rakuten.co.jp/hakoyashop/50819-gp/) ★おせちや正月料理に使用する材料で、日ごろ気を付けているものを書き出す ★年末年始の買い出しは事前に行うこともあるので、メールなど文章で母や義母に送信 ★大晦日や元旦のお楽しみ「すき焼き」も要注意。生卵をといた箸を使わないよう、取り箸を用意してもらう
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帰省時のアレルギー注意点~実家の寝具編
お盆とお正月、春休みにしか使わない私たちの布団。
一年のほとんどは押し入れに入っています。
義弟家族の分もあり、すき間なく詰め込まれた押し入れは、いつ見てもすごい光景です。
ダニの温床になっていないとも限りません。
実家で寝るとゼイゼイするのは、古い畳や自宅にはないじゅうたん、寝具のせいかも?
自動車で帰省するなら枕カバーやシーツだけ持参したり、布団用掃除機を持っていったりするのも手ですが、飛行機や新幹線帰省の場合はそうはいきません。
義母は昨年、レイコップを購入してくれました。
こちらから敬老の日などのプレゼントにすればよかった…と反省です。
私たちが帰った後、布団を干したりしまったり、両親たちが片付けるのが困難になってきたら、レンタル布団を使おうと思っています。
<対策ポイント>
★明るいうちに着いたら布団を広げる。できれば掃除機をかける ★お盆帰省では蚊に刺されてかきむしるので、蚊帳を釣る |
なぜ帰省先の実家でアレルギー症状が出るか考えてみた。
母はとてもきれい好きで、実家に住んでいたころ、家はいつもピカピカでした。
しかし、母も70を過ぎ、最近実家に帰ると感じるのは「あれ?ここ掃除してない?」ということです。
居間やダイニングは変わらずきれいに掃除されていますが、階段の踊り場の隅がほこりで白っぽくなっていたり、お風呂場も微妙にヌルヌルが残っていたりします。
目が悪くなってきた、スポンジでこする力が弱くなった、気力がそれほどなくなった、ということが原因ではないかと感じています。
それは仕方のないことで、責められません。
だからといって、子どもがアレルギー症状を起こすのも仕方ないとは言えません。
実家ならはっきりと、主人の実家でもきちんと説明し、ほこりやハウスダストが気になる部分の掃除は自分で行います。
お姑さんには言いにくいこともありますが、意外と言ったらわかってもらえますし、それが原因で疎遠になるのもお互いさみしいものです。
また、子どもも大人も楽しく、にぎやかな年末年始はずっと座って食べていたりします。
ふだん食べ慣れないものや自宅にはないもので、急なアレルギー症状を起こすこともあるので、大勢いるからといって「誰かしら大人が見ているよね」ではなく、自分自身、子どもから目を離さないようにしたいと思っています。
<対策ポイント>
★持ち寄りおかずやお土産のお菓子、普段接していないペット、こたつふとん、お線香の煙、庭木(かぶれるものもあります)にも注意する ★帰省お土産の箱入りお菓子などは、外側の包装紙に原材料シールが貼ってあることがあります。開封前に確認するか、捨てずにとっておいてもらう |
実家へ帰省中にアレルギー症状が出ないために。出てしまったら。
日ごろ服用している薬、保湿の塗り薬、保険証、お薬手帳、エピペンなどを持参するのは言うまでもありません。
我が家はこのほか、鼻水吸い器(丹平製薬「ママ鼻水トッテ」)、鼻洗いの道具(東京鼻科学研究所「ハナクリーンS」)、ぜんそく日記、ピークフローメーター(フィリップ社「パーソナルベストピークフローメーター」)も必須です。
いつも通りのケアをし、注意していても具合が悪くなった場合は、帰省先や旅行先の医療機関を受診します。
受診したことのある帰省先の病院の診察券も一式持参します。
住んでいる自治体で小児医療政策によって無料受診できている方も、他の都道府県で乳児医療証の類は使用できませんので、現金をお財布に入れておくと安心です。
自宅に戻ってから、自治体の保健課、子ども医療課などへ領収証と印鑑を持って行くと返金されます。
詳しい方法については、お住まいの自治体で問い合わせてみてください。
年末年始は医療機関もお休みしているところがほとんどです。
ふだん住んでいるところなら、夜間診療の医療センターの場所や休日診療当番医院も知っていますが、帰省先ではわからず焦ります。
義弟の結婚式のため帰省した際、1歳だった息子が結婚式当日(日曜日です)の朝に高熱を出して熱性けいれんを起こしました。
第一子で私自身パニックになってしまったこと、それに加えて義両親らも先に式場へ行ってしまっており、誰も休日診療先が分からず、救急車を呼んでしまいました。
その反省を踏まえ、自治体広報誌などに掲載される休日診療表を分かるところに貼ってもらうようにしています。
「Google Keep」や「EverNote(エバーノート)」など、文書を管理する機能やアプリで、情報をスマホに入れておくのも有効です。
携帯やスマホで広報誌(当番表や地図)などを写真に撮る、医療機関名や住所、連絡先を保存しておくだけでも安心です。
<対策ポイント>
★休日診療センターや休日診療当番医院の情報を共有する ★タクシーの電話番号も固定電話近くに貼っておく ★休日診療センターや小児科の場所を把握しておく |
お子さんにアレルギーがなくても知っておいてください
今回は、アレルギーを持つお子さんが年始などの集まりにいらっしゃるかもしれない方へも、ぜひ知っていただきたいことをまとめてみました。
すでに、アレルギーっ子のご家族は十分対応されているはずです。
しかし、バタバタした年末やお正月は、大人も子供も大勢いることで、かえって「誰か見ててくれるはず」と思ってしまいがちです。
そのため、ものに引っかかって転んだり、暖房器具や加湿器などでやけどしたり、食べてはいけない方のお皿のものを誤食してしまう、という事故も起きてしまいます。
ご実家や訪問先の生活スタイルや置いてあるものをすべて替えたり、しまっておいてもらったりすることは不可能に近いです。
でも、集まった親族や友人・知人のみなさんも、少しでも「こういうことがあるのか」と知っておいてもらえるだけでとても助かります。
ご実家にはご兄弟のお嫁さん、お姉さん、妹さんが同居され、きちんと掃除されているケースも多くあると思います。
また、ダニやハウスダストなどは問題なさそう(または掃除してとも言いにくい)といっても、情報として知っているのと知らないのとでは違ってきます。
みなさんにとってハッピーな年末、年始を迎えられますように。
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