約3千年前に中国で生まれ、今もなお続く長い歴史を持つ薬膳(やくぜん)。
からだのバランスを整えて、気・血・水の巡りをよくするとともに、
アンチエイジングや、ダイエットにもいいとクローズアップされています。
健やかで、きれいな40代、50代以降を過ごすために
薬膳料理を毎日の食卓に取り入れてみませんか。
Contents
そもそも薬膳<薬膳料理>って?
薬膳は、中医学の理論にもとずいて、体質や症状、体調、季節などに
あわせた食物の作用と、中薬(漢方薬)を用いてつくる食事です。
古くから中国の医学では、身のまわりにある食材にはそれぞれすべてに
薬効があり、食事は薬のようなもの、”薬食同源”と考えられてきました。
中薬というと高価なものや、手に入りにくいイメージですが、
もとはおなじもの。たとえば山の芋は、乾燥などの処置をすると、
サンヤク(山薬)と呼ぶ漢方薬になります。
そう、薬膳は、身じかな食材でつくることができるものなんです。
薬膳料理で「気」「血」「水」の巡りをよくする。
中医学ではからだにとっては、「気(き)・血(けつ)・水(すい)」の
3つの要素が大切。どれかが不足したり、滞ったりすると体調が崩れたり、
トラブルが起こりやすくなると考えられています。
「気」は元気の源のエネルギーです。
血や水をスムーズに巡らせて新陳代謝を促します。
「血」は、血液。中医学では体のすみずみにまで栄養やうるおいを運び、
老廃物を回収する赤い液体ととらえています。
「水」は、血液以外のすべての無色の体液のこと。
体の細胞や組織に潤いを与え、からだの動きをスムーズにし、
不要な老廃物を排出する役割を果たしています。
また、からだは肝・心・脾・肺・腎の五臓から成り、
それぞれを整えることが不調を和らげることにつながると考えられています。
■肝 自律神経をつかさどり、全身の血流を調整。ストレスに弱いと言われる臓器。
■心 血脈と血液循環機能をつかさどり、思考や感情などの精神活動をコントロール。不眠に関わります。 ■脾 消化吸収、水分代謝をつかさどり、消化吸収した食べ物を栄養として全身に ■肺 呼吸器や皮膚機能をつかさどり、体内に水分を行き渡らせる機能があります。 ■腎 生殖機能、生命維持機能をつかさどり、アンチエイジングにはとくに大切です。 |
薬膳料理でアンチエイジング、しよう!
女性のからだは、35歳になるとシワができはじめ、
42歳でさらに肌や髪の衰えは加速していき、49歳で閉経というように、
中医学では、女性の体は7歳周期で変化が起こりやすいというのが基本の考えです。
肌のかさつき、白髪抜け毛
腎の機能が弱くなってくると、肌がかさついたり、白髪や抜け毛が増えたりと、
アンチエイジングにはとくに腎が深くかかわっていると言われています。
腎の機能を整えるには黒豆、黒ごま、黒きくらげ、
ひじきやわかめ、昆布などの海藻類など、黒い食材を摂りましょう。
とくに黒ごまは、中国では昔から不老長寿の食べ物としても有名です。
エビ、うなぎ、ニラ、くるみや栗、レーズンもおすすめです。
シミや肌のくすみ
しみや、肌のくすみには血の巡りをスムーズにする食材をとりましょう。
血の巡りをよくする食材は、いわしやさば、あじ、さんまなどの青魚。
玉ねぎや、チンゲン菜、にら、黒きくらげもおすすめの食材です。
肌のつやや潤い不足
肺の機能を高めることも肌をつやつや、うるおすのに大切なポイント。
食材としては、れんこんや長芋、大根、豆腐、牛乳、梨など、
白い食材がパワーを発揮してくれます。
白ゴマや松の実、白きくらげも保湿ケアには欠かせない食材で、
とくに白きくらげは、中国では美肌といえば白きくらげというほど
ポピュラーな食材です。
ぱさついた髪
ぱさついた髪にうるおいを与えるのに摂りたいのは、レバー。
でも、レバーが苦手な人は多いですよね。
そんな場合は、いか、かつお、にんじん、小松菜、レーズン、プルーン、
クコの実も食べるトリートメントと呼ばれているので、ぜひ。
顔のむくみ
小顔を目指すなら、まずはむくみ対策をしっかりとおこないましょう。
むくみには、体内の水分コントロールや消化をつかさどる脾の働きを
よくすることがポイント。
利尿作用のある、そらまめや枝豆、緑豆もやし、とうもろこし、
ハトムギや白身魚、海藻類もおすすめです。
みつ葉や青じそ、パクチーなど、香りの野菜といっしょにとると、
パワーアップします。
今すぐつくってきれいに。おいしい薬膳料理レシピ。
<お肌ぷるぷるフルーツポンチ>
肌にうるおいを与える白きくらげと、精神疲労疲れや肌あれにもいいゆりねで、
美肌に。
レシピは楽食story公式ホームページにて。
http://ra-story.com
<鮭の美肌煮>
気を補い、血の巡りをよくする鮭。白きくらげや、黒きくらげ、クコの実なども。
しっとりとしたうるおいと、抗酸化対策に。
レシピは楽食story公式ホームページにて。
http://ra-story.com
<桜えびとしょうがの炊き込みごはん>
からだを温めることで知られている生姜と、桜えびのごはん。
えびは、温め食材であるとともに、アンチエイジングや疲労にも頼もしい。
レシピはABC cooking studio公式ホームページにて。
https://www.abc-cooking.co.jp
<シャキシャキ長芋の温玉ユッケごはん>
免疫力アップに! 肌の乾燥や便秘にもおすすめの白ごまや、
新陳代謝にもいいアボカドも入っています。
レシピはABC cooking studio公式ホームページを。
https://www.abc-cooking.co.jp
<小豆の八宝粥>
血行促進にいい小豆と、さまざまな豆類、もち米のお粥。
胃腸を整えるなつめや、うるおい効果の落花生も。
梅雨や蒸し暑い夏には気力アップのもち米はおすすめの食材。
レシピはパン・ウェイの公式ホームページを。
Pan Wei’s Chinese Cooking
http://www.pan-chan.com/index.html
<長芋とセロリのごま油ソースがけ>
肌のうるおい不足には、白い食材の長芋!セロリにはデトックス効果も
あります。
レシピはパン・ウェイの公式ホームページを。
Pan Wei’s Chinese Cooking
http://www.pan-chan.com/index.html
<はと麦のスープ>
むくみや肌トラブルなど、美肌にいいことでも有名なハトムギのスープ。
レシピはBISHO YAKUZEN公式ホームページを。
http://www.b-yakuzen.com/recipe/hatomugisoup.html
<黒ごまとじゃがいものセサミボール>
黒豆、黒ごま、海苔など、腎をパワーアップする黒い食材をつかったコロッケ。
レシピはBISHO YAKUZEN公式ホームページを。
http://www.b-yakuzen.com/recipe/1014.html
※ここで紹介している料理の公式ホームページには
薬膳のレシピがほかにも紹介されています。
薬膳の体質タイプ、チェックしてみよう。
気の巡りが悪くなっているのか、水が滞っているのかなど、
薬膳では、自分の体質を知ったうえで、食事をとっていくのが基本の考えです。
体質タイプは、季節や、そのときの体調で変わるものなので、
時々チェックをしてみましょう。
体質タイプは、
①気虚(気が不足)
②気滞(気の流れが滞る) ③血虚(血が不足) ④瘀血(血の流れが滞る) ⑤水滞(水の流れが滞る) ⑥陰虚(水が不足)などに分かれます。 |
※タイプの表現名は別名の場合もあります。
体質チェックポイント!
気虚タイプ
だるくてやる気力がでない。朝起きられない。食後に眠くなる。
むくみやすい。舌にギザギザした歯の跡がある。
気滞タイプ
げっぷやガスが多い。のどにつまったような感じがある。
生理前に情緒が不安定になる。ストレスがある。舌の両側が赤い。
血虚タイプ
顔色が悪い。不眠がち。怖い夢を見る。髪がぱさついたり抜けやすい。
立ちくらみがする。
瘀血タイプ
クマがある。しみ、そばかすが多い。生理時にレバー状の塊がある。
舌の裏に静脈がはっきり出ている。
陰虚タイプ 寝汗をかく。暑がりでのぼせがち。冷たい飲みものが好き。
手足がほてる。
<「ゆる薬膳。」(池田陽子著 日本文芸社)より引用>
さらに詳しい体質チェックができるサイトもあります。
クラシエ公式ホームページ
http://www.kracie.co.jp/ph/k-therapy/karadakagami/
東西薬局公式ホームページ
https://tozai-yakkyoku.com/chart/
楽食story公式ホームページ
http://ra-story.com/?page_id=56
薬膳料理に大切。五性ってなに?
ABC cooking studio 公式ホームページより引用。https://www.abc-cooking.co.jp
薬膳の考え方のひとつ、五性は、その食材がからだを温めるのか、冷やすのかなど、
性質の度合いによって、寒性、涼性・平性、温性、熱性に分けたものです。
五性をもとに、体質や状態にあわせて食材を選び、不調を整えていくというものです。
寒性、涼性はからだを冷やし、熱を取り除く働きや毒素排出をサポートします。
平性は、温、寒いずれでもないもので、滋養強壮にいいと言われているもの。
温性、熱性は、からだを温めて冷えを除き、血や気の巡りをサポートしてくれます。
薬膳の五行説とは?
薬膳では、自然界に存在するものを「木・火・土・金・水」という
5つの要素の相互関係で表します。これを五行説と呼びます。
それぞれの要素がバランスよく調和しているのがいい状態です。
イラストの、矢印はお互いの関係性を表しています。
ピンクの矢印は、相手の臓器が活発に働くように促進させ、
青い矢印は相手の働きを抑えてバランスをとる関係です。
参考イラスト 養命酒公式ホームページより。https://www.yomeishu.co.jp/health/3371/
また、食べ物の性質を知る方法のひとつとして、その味の違いで5つに分けた、
五味<酸・苦・甘・辛・鹹(かん)>があります。
イラストのように、五味五臓は深く関係していて、
特定の味を欲しているときは、からだのある部分が疲れていたり、
パワーが落ちていると考えられています。
ゆる薬膳で痩せた! ゆる薬膳って知ってる?
薬膳は、きちんと食べてダイエットもできる、
うれしい料理としても注目されています。
低カロリーの食事だけをしてやせようとがんばっても、
からだのバランスが整っていなければ、効果はなかなか現れにくいものです。
代謝が悪いせいで脂肪や水分を必要以上にためこむことになり、
太りやすい体質になったりもします。
中医学では、バランスを整えて代謝をきちんと上げることで、
健康的にやせる、ダイエットにつながると考えられています。
NHKBSプレミアムの番組「美と若さの新常識 カラダのヒミツ」では、
視聴者が薬膳ダイエットにチャレンジして成功したり、
美肌のために薬膳をはじめたら、お肌の改善だけでなく、
気がついたら5kgもやせていたという、
薬膳アテンダントの池田陽子さんの著書
「ゆる薬膳。はじめたらするっと5kgヤセました!」
も人気です。
缶詰を使ったり、コンビニでも買える食品を代用したりと、
自らの体験をもとにしたゆるっとした薬膳の方法はとても手軽。
ゆるっとはじめて、きれいになる薬膳なら、楽しく長続きできそうですよね。
参考文献
「ゆる薬膳。」(池田陽子著 日本文芸社)
「毎日役立つからだにやさしい 薬膳・漢方の食材帳」(薬日本堂・監修 実業之日本社)
「ゆらいだら薬膳」(麻木久仁子著 光文社)
「からだに効く和の薬膳便利帳」(武鈴子著 家の光協会)
「薬膳ビューティーレシピ」(谷口ももよ著 講談社)
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